自然石粒付鋼板とは金属板をさらに腐食しにくくした、ニュージーランドで開発された屋根材です。
金属鋼板上面に自然石粒層を持たせたものが自然石粒付鋼板で、近年日本でも普及しており、注目を集めています。
今回はその自然石粒付鋼板の特色についてまとめてみたいと思います。
自然石粒付鋼板とは?
自然石粒付鋼板は、基本的に海外から輸入して使用されております。
海外では、ガルバリウム鋼板と同等の「ジンカリウム鋼板」という材料に自然石粒をコーティングして仕上げられています。
(ジンカリウム鋼板は、ガルバリム鋼板と呼び名が違うだけで、ほとんど同じ材料です。)
これによりマット系のシックなデザインにすることができるとともにいろいろな特色を持つ屋根材となります。
石粒はさまざまに着色でき、西洋瓦風やスレート風等の形状も自由にできるため、デザインバリエーションも豊富です。
メリット
軽量
なお自然石粒が付いている分鋼板だけよりも重量が増しますが、「1㎡当たり1kg程度」だと言われています。
とはいえ、1平米に対し「約7kg」の為、他の屋根材に比べて非常に軽量なのには違いありません。
一般的にアスファルトシングルで「13kg」、スレート屋根で「18kg」、瓦屋根で「48kg」くらいと言われていますから、充分に軽い屋根だと言えます。
遮音性、遮熱性
自然石粒付き鋼鈑は遮音性に優れた屋根材です。
理由は鋼板の表面に吹き付けられた自然石粒が雨音を吸収し、鋼板に雨音が響くのを防いでくれる為です。
また、自然石粒により鋼鈑に伝わる熱伝導率も低くなるため、遮熱性の機能も向上します。
鋼板の欠点であった「雨音が響きやすい」点や「鋼板の熱伝導度が高く直射日光等により熱くなりやすい」欠点が改善されています。
メンテナンス不要
自然石粒付き鋼鈑はメンテナンスが不要で30~40年使用し続けることが出来る屋根材です。
本来、金属屋根の場合は10~15年に一度の塗装メンテナンスを行う必要がありますが、自然石粒付き鋼鈑の場合は塗装が不要です。
実際にメンテナンス不要で30年保証が付く製品も販売されております。
メンテナンスを行わずに性能を保ち続けられる理由は、自然石粒の表面に施されているセラミックコーティングです。
セラミックコーティングは金属、酸素、窒素、炭素などから構成されている化学物で、紫外線や耐摩擦に非常に強いという特徴があります。
その為、長期間使用しても雨や紫外線から屋根材を保護することが出来ます。
デメリット
コスト
自然石粒付き鋼鈑は金属屋根の中でも比較的高価なグレードになります。
施工手間も含めると、通常の金属屋根より1.5倍程の費用が掛かる場合もあります。
しかしメンテナンスを行わず30年以上使用できると考えると、かえって低コストになることが多いです。
導入条件
屋根の勾配が2.5寸以下と緩い場合は施工が出来ないという製品もあります。
へこみやすい
鋼板ですので外部衝撃により、凹みやすいというデメリットもあります。
屋根に上がる作業「屋根点検」や「屋根補修」、「アンテナ工事」などの際には、注意が必要となります。
断熱材入りの商品がない
日本で販売されている自然石粒付鋼板は、断熱材とセットの商品の販売がありません。
そのため、断熱効果を得るには、別途断熱材を取付ける必要があります。
自然石粒付鋼板は劣化する?
表面の自然石粒が少し落ちることがありますが、品質上問題ないレベルだとされています。
ですが錆びに強い鋼板とは言え、絶対錆びないとは言えません。
キズがあったり海岸地方で潮風が当たるとか、排気ガスや工場のばい煙が多い地区では錆びる可能性がゼロではありません。
錆びにくいとは言っても金属板ですので、「塩害がある海岸地方」や「工場地帯、幹線道路沿い等のばい煙や排気ガスで酸性物質が溜まりやすい地域」では耐用年数も短くなるという点も注意が必要です。
表面が自然石で覆われているため錆びに気付きにくい場合があり、いつの間にか雨漏りしている場合もあります。
そのため地域によっては、定期的に点検した方がよいでしょう。
自然石粒付鋼板のメンテナンス方法
ガルバリウムの屋根と同様で、自然石粒付鋼板も水洗いが有効です。
目地やキズに酸性物や塩分が溜まると、そこから錆が出る場合があります。
特にいつもは水が流れない場所を重点的に水を流してやることがコツです。
また屋根裏に水蒸気の結露が起きやすいため、定期的に換気を行ってやるとよいと思います。
高耐久な屋根材なので、とくに塗装などのメンテナンスは必要ないとされてます。
まとめ
自然石粒付鋼板は、ジンカリウム鋼板というガルバリム鋼板と同等の材料に自然石粒をコーティングして仕上げられた新しい屋根材です。
耐久性が高く遮熱性もあり、意匠性に優れた屋根材です。
自然石粒付鋼板は耐用年数50年(保障30年)と言われていますので、瓦屋根同様のメンテナンスフリーです。
しかも鋼板は瓦のように割れることもありませんので、さらに安心できる屋根材と言えるでしょう。
デザイン的にもシックで高級感がある屋根にできるのですから、注目され始めているのも頷けるでしょう。
欠点としては、費用が少し割高な点と断熱効果を求める場合にはさらに別料金となります。
現在流行りの「ガルバリム鋼板」と比較して、是非検討してみてください。