初めて屋根修理をするとき、費用や作業内容、火災保険適用の有無や業者選びなど難しい点が多く感じるかもしれません。しかし、屋根材ごとの修理方法や費用単価などの基本をおさえておければ、適切な業者選びから、修理費用の節約まで、スムーズに進めることが可能となります。

このページでは、屋根修理の費用単価からその修理方法の種類火災保険の適用補助金の活用法、業者選びのポイントまで、屋根修理に関する知識を詳しく解説します。

屋根修理を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

屋根修理(部分修理)とは?リフォームとの違い

屋根修理職人

 

屋根修理は、経年劣化した屋根材を雨漏りしないように修理する作業や、自然災害による、台風・強風・大雪・地震などの影響で、屋根材が「剥がれたり、割れたり、崩れたり」した場合に屋根を元の状態に戻すための作業を行ってきます。

雨漏りしてしまった場合には、被害状況を確認して雨漏りを改善させるための修理を行っていきます。

屋根修理では、基本的に部分的な修理作業を行い、補修や交換を行っていきます。ですが、劣化状況に応じて、全体的な修理やメンテナンスが必要になるケースもあります。

その場合は、全体的に屋根の「塗装工事」、「カバー工事」「葺き替え工事」、「葺き直し」を行います。この全体的な修理やメンテンナンスを行う場合は、屋根の「リフォーム」という部類に入ります。

屋根リフォームについて詳しくはこちら>>

 

屋根修理にかかる費用はどれくらい?|屋根材別に解説

 

屋根修理の費用は、屋根材の種類や作業の規模により変わります。ここからは、屋根材別にその修理費用をご紹介していきます。

 

化粧スレート屋根

屋根施工後

 

スレート屋根材は経年劣化で割れることがあります。割れたまま放置すると防水シートのダメージも促進。そして、雨漏りの原因になる可能性もあります。

また、棟板金を固定している釘は年数とともに浮いてきます。固定力がなくなったのに放っておくと強風などがきっかけで棟板金が剥がれることもあります。

 

スレート屋根差し替え

屋根差し替え

 

スレート屋根材が部分的にひび割れや割れしまった場合は「コーキング補修」や「屋根材の差し替え」を行って修理していきます。

コーキング補修の費用は1.5~3万円前後で、屋根材の差し替え費用は2.5万円/~くらいとなります。

 

棟板金補修、交換工事

棟板金交換工事仕上がり

 

棟板金(むねばんきん)は、スレート屋根の一番上、尖っている部分に被せられている山形状の金属板のことを指します。この棟板金の釘が浮いてきたり、下地が腐食して剥がれてきた場合は交換を行っていきます。

棟板金交換の費用は2.5万円/箇所~、または4000円/m程度です。

 

トタン屋根

トタン屋根塗装後

 

錆びやすい特徴を持つトタン屋根は、いったん錆が発生するといつの間にか広がって、穴があくケースも多いです。

また、下地が腐食してトタンが強風で剥がれてしまう事もあります。

 

トタン屋根部分張替え

トタン屋根部分張替え

 

部分張替えは、錆や穴あきのひどい箇所や剥がれてしまった箇所を中心に新しい屋根材へと張替えを行う修理方法です。一部だけに劣化や不具合があり、コストをおさえながら修理したいときの選択肢です。

トタン屋根の部分張替えは5万円~、または11000円/㎡くらいとなります。

 

棟板金交換・瓦棒心木交換

棟板金取付け

 

トタンの棟板金や瓦棒心木に、釘の浮きや錆、外れなどが見られたら交換します。トタンという素材の錆びやすさに加えて、鉄の釘が浮きやすく、雨水が浸入し内部の貫板や心木が腐食します。

下地が腐食した場合には板金材が剥がれてしまうため下地を含めた交換が必要となります。

棟板金交換、心木交換ともに費用は2.5万円~くらいとなります。

 

粘土瓦屋根

瓦屋根

 

瓦屋根」は、地震や衝撃、経年劣化により、瓦材が割れたり、棟瓦が崩れることがあります。

瓦の割れや棟瓦の崩れを放置すると、下地の防水シートや野地板も傷めてしまう原因にもなります。

 

和瓦差し替え

軒瓦の差し替え

 

耐用年数が長い粘土瓦ですが、地震・強風で割れるケースもあります。内部へのダメージがない場合、「割れた箇所」の瓦だけを何枚か差し替えて交換することができます。

瓦の材料代や施工費などがかかり、費用は2万円~くらいとなります。

 

屋根漆喰補修工事

棟瓦漆喰補修後

 

屋根の漆喰(しっくい)は、屋根の一番高い位置となる「」や、下屋根の壁との取合い部に使用される防護材料です。

漆喰の剥がれが起こったら、内部に雨水が入ってしまうため補修工事が必要です。

漆喰補修の費用は2.5万円~または3500~5000円/mくらいとなります。

 

棟瓦積み直し工事

棟瓦完了

 

棟積み直し工事は、瓦屋根の中央部に積んである瓦材が崩れたり破損した際に行う修理作業です。

既存の棟瓦を一度解体してから、新しく「なんばん漆喰」などで土台形成してから、また同じ瓦材を元に戻して積み直していきます。

棟瓦積み直しの費用は12000円/mくらいとなります。

 

和瓦の部分葺き直し

瓦戻し

 

葺き直し工事は、和瓦の高耐久性を活かした修理方法です。長期的に和瓦は問題ありませんが、下地の野地板や防水シートは劣化するため修理が必要となるため、その際に行われる工事となります。全体的な施工から部分的な葺き直しも行えるため、雨漏りした際によく施工されます。

葺き直しの費用は10500円/㎡~くらいとなります。

 

屋根付帯部

雨樋

 

屋根付帯部とは、屋根や外壁のほか、外観を構成する部材です。

庇や雨樋、破風板、軒天、笠木などの付帯部は、細かなパーツで範囲も狭く、劣化が起こっても見逃されがちかもしれませんが、お住まいを守っている大切な存在です。これらの劣化が起こっていれば修理が必要となります。

 

庇カバー・改修工事

庇

 

庇とは、玄関や窓などの上に設置される小型の独立した屋根を指します。最近、庇のない家も増えていますが、日差しや雨を避ける機能があります。

この庇は、板金部の錆や木部の劣化が発生するため、状況に合わせた修理が必要となります。

庇の修理費用はカバー工法で3.5万円/箇所~、庇交換で6万円/箇所~くらいとなります。

 

雨樋補修・交換工事

雨樋

 

雨樋は、屋根で受けた雨水を適切に排出するための重要な設備です。しかし、落ち葉やゴミの詰まり、年月の経過で金具の錆や割れが起こることがあります。

雨樋は、傷んでいる箇所の「部分修理」や同じ商品があれば「部分交換」ができます。

雨樋の修理費用は1.5~5万円くらいとなります。

 

破風板カバー・交換工事

破風板金施工中

 

屋根の側面に取り付けられている「破風板」は、雨や風が屋根裏に入るのを防いでいます。

破風板の劣化によって、板金カバー巻きのメンテナンスを行います。腐食がひどいと板金カバーができないので、交換の必要があります。

破風板金の費用は3500~4500円/m、破風板の交換は6500円/m~くらいとなります。

 

軒天カバー・張替え工事

軒天

 

軒天は、強風や雨風の影響で、シワや汚れが目立つようになります。劣化が進むと素材がベニヤの場合は剥がれ落ちてきます。

通常の軒天メンテナンスなら塗装を行います。ただ、劣化がひどいときには、既存の軒天の上に新しいものを追加する「カバー工法」や、軒天を全て新しくする「張替え」を行っていきます。

軒天カバーの費用は4000~6000円/m、張替えは5000~8000円/mくらいとなります。

 

笠木板金工事

バルコニー笠木カバー施工後

 

笠木は、ベランダや屋上の手摺上部にある部材で、雨、風、紫外線などのダメージを受けやすいです。風向きによって水切りから雨水が入り込みやすく、下地を傷めやすいです。木下地が傷むと、板金材の剥がれや雨漏りを引き起こすリスクが高まります。

劣化した場合には、既存の上に新たな板金を巻く「カバー工法」か既存の板金材を解体して新しく「交換」する方法があります。

笠木カバーの費用は5000円~/m、笠木交換が10000円~/mくらいとなります。

 

仮設足場の設置

仮設足場設置

 

屋根修理は高い位置安全作業をするため、足場を設置します。

足場設置は、滑るなどの危険を伴う高所作業を安全に行う目的、そして作業中に道具や材料を飛散させないという目的もあります。この足場費用が加算されるので屋根修理の費用は高額になりがちです。

 

■足場の費用目安

【25坪~35坪】:12万円~17万円

【35坪~45坪】:17万円~22万円

【45坪~60坪】:22万円~28万円

 

※足場は工事内容、立地や建物形状などによって費用が変わるので、あくまで概算となります。

 

屋根修理に火災保険は適用されるのか?

保険

 

家や家財に突然かつ予期しない災害や事故による損害が生じた場合に補償を提供する火災保険。火事のほか、落雷や台風などによる屋根の損害も補償対象です。

ただし、補償対象の詳細は、加入している火災保険の種類によります。

 

火災保険の適用条件とは?

 

火災保険が適用できるのは、以下が基本的な条件となります。

・屋根の損傷が風による被害、雪の重さ、または雹(ひょう)によって引き起こされたものであること
・これらの被害が発生してから2~3年以内に保険の申請を行っていること
・修理に必要な費用が、火災保険の免責金額を上回っていること

 

加入している保険によっては、一部自己負担を行うことで保険が適用されるケースなどもあります。不明点等あれば、直接保険担当者に確認を行っていきましょう。

 

火災保険が適用されないケース

 

自然災害が直接的な原因ではなく、「施工不良」はもちろん、「経年劣化」によって屋根に不具合が起きた場合は火災保険が使えません

屋根材も年数が経つと、紫外線や雨風の影響でサビや木部の腐食が発生します。それにより、雨漏りの発生や屋根材が剥がれても経年劣化が原因として扱われます。

 

屋根修理に補助金(助成金)は使えるのか?

補助金

 

国や地方自治体から提供される助成金や補助金を利用すれば、修理費用を抑えることが可能です。

ただし、助成金・補助金には特定の条件が定められているほか、「屋根修理」に直接利用できる補助金はほとんどありません

ここでは、屋根に関連した補助金について、内容や申請の手順、注意すべきポイントについて解説していきます。

 

省エネ

 

省エネリフォーム(環境に優しいエコリフォームのこと)を行う際、一定の条件満たしたうえで、助成金・補助金の対象となるケースがあります。例えば、屋根・外壁の断熱改修や断熱塗料を塗装する工事、太陽光発電などのリフォームです。

支給される補助金の額は、自治体によって変わりますが、多くの場合、上限は「約20〜30万円」程度に設定されています。

ただし、電力を売却し利益を得ることを主な目的とした太陽光発電リフォームの場合、省エネルギーの目的には当てはまらないため注意が必要です。

 

耐震など

 

耐震性能の基準値を下回る建物に「耐震リフォーム」で補強する際に、助成金・補助金が支給されるケースがあります。軽量の屋根へのリフォームなど、耐震性能の向上を目的とした住宅リフォームで利用できる補助金です。

また、耐震工事だけでなく、耐震診断にかかる費用補助金の対象となります。耐震性が気になって屋根リフォームをお考えの方に検討できる制度です。耐震診断の補助金については自治体によって補助率が異なりますが、補助率が多いほど実質負担が少なく耐震診断を受けることができます。

これらの補助金制度は、住宅の安全性と快適性を向上させることを目指しています。築年数が経過した住宅において屋根リフォームする際には、こういった自治体による制度を上手に活用できれば、より安全で快適な住環境を作り上げられるでしょう。

 

【失敗しない】屋根修理の業者の選び方のポイント

 

屋根修理は家の状態を維持し、快適な生活を続けるために重要です。しかし、業者選びを失敗すると、「せっかく修理したのにすぐに不具合が起こった」、「数年サイクルで大きな修理費用が発生してしまう」などの状況が起こることもあります。

修理後の満足度、そして経済的な負担などを考慮して良質な業者を見極めなければいけません。では、どうすれば失敗せずに屋根修理の業者を選ぶことができるのでしょうか?

下記では、そんな疑問を解消するためのポイントを詳しく解説します。

 

過去の実績

南東面施工後

 

業者を見極めるときにポイントとなるのが「過去の実績」です。お住まいの地域で、屋根修理の経験が豊富で口コミなどで評価が高い業者を選びましょう。

また、実際に過去に行った施工現場や施工中の現場を見せてもらうこともおすすめすです。

過去の実績を確認することで、適切な工事を行ってくれるのか確認できます。

 

原因となっている部分からの解決を提案してくれる

屋根点検

 

屋根修理業者の中には、小さな修理で解決する場合でも大きな屋根リフォームを提案してくる業者もいます。将来的に考えた必要な工事であれば問題ないですが、会社の利益だけを重視し、不要な工事であるケースもあるので注意しましょう。

希望の工事内容予算をしっかりと業者に伝えて、不安な場合は複数の施工店に相談するのがおすすめです。

 

相見積もりをとる

お見積書

 

修理業者によって、材料のコスト、人件費、利益などが異なり、見積もり金額は大きく変わることがあるため、施工店選びは相見積もりがおすすめです。

見積書を複数比較できれば、修理費用工事内容を比較しやすくなり、「不適切な金額」も見分けられるでしょう。

また、見積書では、コストのほか、使用する材料や作業内容などもじゅうぶんに確認しましょう。見積もりが極端に安い場合は、質の低い材料で補修が行われいる可能性もあるので注意が必要です。

 

最後に

 

今回は、屋根修理の内容ごとの費用業者選びについて、具体的な解説を行いました。

屋根は、経年劣化や自然災害などで、雨漏りにつながります。

屋根修理には、自然災害で発生した破損の「原状回復工事」、そして雨漏りを起こさないための「予防対策工事」などの目的があります。

劣化している状態を放置する期間が長いほど雨漏りリスクが高まるため、屋根修理をお考えのときは、できるだけ早めに対処することが大事です。

 

屋根修理NAVI

 

 

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