ルーフィングシート

 

厳しい天候にさらされる屋根には、屋根本体以外にも守りが施されています。

それは、下葺き材と言われる「ルーフィングシート」です。

このルーフィングシートは、とても重要なものですが、実際にどのような役割をしているのか、知っている人は少ないと思います。

今回は、ルーフィングシートとはどういうものなのか、その重要性と種類などについてまとめてみました。

ルーフィングシートとは?

ルーフィングシート張り

 

ルーフィングシート(roofing Sheet)は直訳すると「屋根のシート」となる英語で、屋根の瓦の下に敷くシートです。

位置的には屋根を覆う、杉のバラ板や野地板と、瓦などの上葺き(屋根本体)の間に設置するシートです。

瓦などを「上葺き材」と言い、ルーフィングシートは「下葺き材」とも呼ばれています。

ルーフィングシートは一般的には布にアスファルトを染み込ませた防水性のあるシートで、雨から屋内を守る役割を持ちます。

一般的には屋根は雨水を内側に浸透させることはありませんが、強い横風などにより雨水が逆流して、瓦下の隙間に入って来たりすることも考えられます。

特に日本は台風等による予測できない強い風雨があり、それに対応するために屋根には「二次的な防水」としてルーフィングシートが欠かせないものとなっています。

 

ルーフィングシートの種類

 

ルーフィングシートと言ってもさまざま種類のものがあります。

耐久性の違いや、施工する状況によって選ぶルーフィングシートも変わってきます。

アスファルトルーフィング

アスファルトルーフィング

 

「田島ルーフィング株式会社」の「アスファルトルーフィング940」と呼ばれるシートは最も多く使われています。

最も安価で耐用年数は10年です。

コストで選ぶなら、この「アスファルトルーフィング」が最適です。

建築請負業者には雨漏り等の問題に対して10年間の「瑕疵担保責任」がありますがそれに合わせたグレードだと言えます。

改質アスファルトルーフィング

改質アスファルトルーフィング

 

ゴム改良アスファルトルーフィングは、アスファルトルーフィングの改良型で、劣化しにくく耐用年数は倍の20年以上となります。

田島ルーフィング株式会社で耐用年数「60年」の「マスタールーフィング」という商品もあります。

改質アスファルトルーフィングは価格によって、その耐久年数「20年~60年」を選べます。

高分子系ルーフィング

高分子系ルーフィング

 

ケイミュー株式会社の「ノアガードⅡ(高分子系)」というシートは、軽量でアスファルトルーフィングの「1/3」の重さとなっており、性能は「改質ゴムアスファルトルーフィング」と差はありません。

少しでも重さを軽減させるのであれば、この「高分子系ルーフィング」は最適です。

粘着層付きルーフィング

粘着層付きルーフィング

 

粘着層付ルーフィングは、裏面に粘着効果があり、釘やビスを使用せずにシートを張ることが可能です。

屋根の勾配が緩い場合屋根材がボロボロなどの場合に活用していきます。

緩い勾配屋根でシングル材を接着工法(釘を使わず専用ボンドで張る)で仕上げるときによく使っています。

遮熱ルーフィング

 

遮熱ルーフィングは、太陽熱を反射して、野地板の温度上昇を抑制する効果が期待できるシートです。

野地板に熱が伝わりにくくなるので、屋根内部の温度が下がります。

ですが、その遮熱効果を発揮させるためには、屋根本体と防水シートとの間にすき間を設ける「通気工法」が必要となります。

この遮熱ルーフィングは、軽量瓦屋根などの葺き替え工事でよく使用されています。

遮熱系のルーフィングでは、田島ルーフィングに「タディスクール」という商品があります。

透湿ルーフィング

 

透湿ルーフィングは、野地板の湿気を外部に逃がす透湿性」のあるシートです。

屋根内部の湿気の逃げ道が出来るため、結露防止につながり、野地板の腐食を避けられます。

ですが、この透湿シートは外壁でよく使用されていますが、屋根で使用されることはほとんどありません。

理由としては、遮熱シート同様に、屋根本体と防水シートとの間に隙間があって、その効果が発揮されるため「通気工法」で仕上げる必要があります。

そのため、施工費用が割高となりますし、屋根本体の種類が限られてくるためです。

透湿系ルーフィングでは、遮熱性も備えた、フクビ化学工業株式会社の「遮熱ルーフエアテックス」などがあります。

 

ルーフィングシートが劣化するとどうなる?

劣化したルーフィングシート

 

屋根は雨水から、「屋根本体」と「ルーフィングシート」で守っています。

主に雨水から屋根を守っているのは屋根本体ですが、劣化すると風向きなどによって、内部に雨水が入り込んでしまう事もあります。

その入り込んだ雨水から屋根を守っているのがルーフィングシートです。

そのため、このルーフィングシートが劣化して破けてしまうと、そのまま雨漏りしてしまいます。

ルーフィングシートを修理するためには、屋根本体も剥がさなくてはいけないため、大掛かりな工事となってしまうため注意が必要です。

未然に防ぐにも、劣化しているかどうかは外から見えませんので、定期的に屋根リフォームを行うしかありません。

 

まとめ

 

ルーフィングシートは外から見えないため、そこにこだわる人はほとんどいません。

ですが、ルーフィングシートの種類はたくさんあり、それによって耐久性や性能が全然違います。

とくに、ルーフィングシートの耐久年数を知っておくことで、雨漏りを未然に防ぐことにつながります。

屋根本体だけ耐久性が高くても、ルーフィングシートが10年しか持たないのであれば意味がありません。

屋根リフォームを行う際には、このルーフィングシートにもある程度こだわって選んでいくことをおすすめ致します。