屋根瓦は、台風などの自然災害や落下物の影響で、割れてしまうことがあります。
部分的な破損でも放置すると、瓦の割れから雨水が侵入して内部を傷める原因となってしまいます。そんな割れてしまった瓦を「一枚や部分的」に交換した場合、費用はいくらかかるのでしょうか?
ここでは、「瓦交換に必要な費用と施工手順」、また状況によっては一枚だけ交換できないケースもあるためその点について解説していきます。
下地(防水紙・桟木・野地板)の交換も一緒に行う場合は「葺き替え工事」となり、また別工事となります。
瓦交換の必要性とは?交換を行った方が良い状況について
瓦の交換が必要な理由
屋根瓦は紫外線や雨風から屋根を守り続けている重要な役目を果たしています。この屋根瓦が破損したり、剥がれ落ちてしまうと、そのまま雨水が内部に入り込んでしまいます。
内部には防水紙という2次防水材があり、すぐに雨漏りすることはありませんが、そのまま放置してしまうとこの防水紙も傷んで破損してしまいます。
防水紙まで破損すると、そのまま建物内に雨水が流れ込み、室内まで届きます。
室内に入り込んだ雨水により「カビの発生、漏電の危険性や木材の腐食、シロアリの発生」など、さらに2次被害も発生してしまいます。
このようなことを防ぐためにも、割れたり破損した瓦は早めに交換が必要となります。
瓦交換(差し替え)が必要な具体的な状況
粘土瓦
粘土を使用した瓦の耐用年数は「60年から80年」とも言われています。それに加えて表面が滑らかなため、コケが生えたりすることもありません。
しかし、地震の影響で瓦が崩れて割れてしまったり、強風で瓦が落ちて割れたりした場合に交換が必要となります。
また、瓦のずれによって雨漏りが発生した場合には瓦の交換と下地の張替えも必要となります。。
セメント瓦、モ二エル瓦
セメントを原料とした瓦の耐用年数は「30年前後」です。
セメント系の瓦は外側の塗装が剥げると、防水効果が薄れて、ひび割れが生じ、雨漏りの原因になることもあります。
また、粘土瓦同様に強風により剥がれて破損した場合に交換が必要となります。ただし、セメント瓦の場合は同等の瓦材が無く交換できないケースもあるため注意が必要です。
瓦を交換(差し替え)するのにかかる費用は?
自分で交換する(DIY)
瓦1枚の単価(材料代)は「100円から1,000円」などその種類と材質によって価格は様々です。
高いところに自分で登れるから大丈夫という方や、普段からDIYをしているため「瓦の種類や交換方法」を自分で調べられるという方は、専門業者に頼まず「新しい瓦代と古い瓦の処分代」で交換が行えるでしょう。
しかし高所でのDIYには危険が伴いますので、基本的には「屋根のDIY作業」はおすすめはしてません。
業者に依頼する
粘土瓦(洋瓦、セメント瓦)の交換
プロに依頼した場合は、瓦の材料費は微々たる金額ですが主に人件費がかかります。仮に瓦一枚だけの交換でも「材料代+作業費や交通費」などで「1.5~3万円」くらいとなります。
広範囲で交換を行いたい場合には、枚数が多いほど割安となります。
高所作業ですが、緩やかな勾配で枚数も少なければ仮設足場なしで瓦交換することも可能です。
瓦交換の施工手順について
瓦一枚交換を行う時間は、状況にもよりますがおおよそ数分です。
①瓦の撤去
既存の瓦を撤去・処分していきます。釘で固定されている場合は、専用のバールで釘を引き抜きます。
②不要部のカット
現在では、新しい瓦は防災瓦になっていますので、不要な部分を瓦用ハンマー(瓦槌)やサンダーでカットしていきます。
③取付け
解体前と同様に隙間なく、新しい瓦を取付けて完了となります。部分的に交換する場合は新たに釘で固定することができないため、コーキングなどの接着剤を塗って固定して仕上げます。
瓦一枚のみ交換できないケースとは?
瓦が一枚や数枚だけ割れてしまった場合には「部分交換(差し替え)」も行えますが、屋根材や状況によってできないケースもあります。
同質の瓦が廃盤になっている場合
ある程度年数が経過した屋根瓦は廃盤になっているケースがほとんどです。同じ瓦が無いと一枚だけ違和感なく交換することが出来なくなってしまいます。
このようなケースでは、「近い形状の瓦を加工して取付け」を行うか、「板金を加工して取付け」ていきます。
廃盤になっている場合でも、上記のように補修を行う事はできますが、一枚や部分的に見た目が違うので目立ってしまうというデメリットがあります。
とくに「セメント瓦・コンクリート瓦」の場合は同じ瓦が無いため、注意が必要です。
割れた箇所が原因で雨漏りしている
屋根材が割れてしまったことが原因で「雨漏りが発生」した場合、瓦を交換しただけでは解決できません。
雨漏りしたということは、下に張られている「二次防水(防水シート)」が破損しているということです。上物の瓦だけ交換しても、強雨の際に二次防水まで雨水が侵入してしまうと雨漏りしてしまいます。
そのため、この防水シート及び、必要であれば木下地の補修を行ってから瓦の取付けを行います。
瓦の交換は火災保険が使える?
火災保険には火災だけでなく、自然災害にも適用されます。
例えば、「台風や落雷、水害、雪害」などです。
「台風による強風で瓦が飛んで行ってしまった」、「屋根に雪が積もって、瓦がずれてしまった」など、瓦に不具合が発生したときは火災保険は適用されます。
その影響で、雨漏りした場合もその修繕費が火災保険の対象となります。
反対に火災保険が適用されない場合は「経年劣化が理由で瓦が破損した場合」、「人的要因で瓦を割ってしまった場合」などです。
そのほか、同じ自然災害でも地震の影響で瓦に修理が必要な場合は、地震保険に加入している必要がありますので間違えないように注意が必要です。
最後に
急な自然災害などのトラブルで一部の屋根が破損してしまった場合でも、部分的な修理が行えます。
ですが、瓦一枚の「交換費用」や瓦一枚だけ「交換できるか」は、屋根材の種類や状況によって異なります。
適正な費用を知るためには、現地調査を依頼する必要があります。
もし、屋根が剥がれてしまいお困りの方や、現地調査をご希望の方がいらっしゃいましたら、お気軽に轍建築までお問い合わせください。
瓦交換NAVI