屋根材は建物を守るために、それぞれの土地や気候に適したものを用意する必要があります。
主な要因として「自然災害」による対策です。
台風はもちろんですが、近年は「雪」による被害も増えてきています。
雪国にお住まいの方はもちろんですが、そうでない地域の方も雪に適した屋根材について知っておくことで対策もできるでしょう。
ここでは、雪に強い屋根材の種類について紹介します。これから屋根のリフォームを検討している人は、参考にしてみてください。
雪害対策に必要な屋根材の機能
雪害対策で必要な屋根材にはどんな機能が求められるのか。
まずは改めてその条件について見ていきます。
吸水率の低い屋根材
雪は氷の結晶が集まったものであり、気温が上がると溶けていきます。
そのため吸水率が低く、雨漏りをしにくい屋根材が求められるのです。
仮に吸水性が高い屋根材(劣化したコロニアル、セメント、モ二エル瓦など)では、雪が積もっている段階なら問題ありませんが、溶けて水を吸収していくと重さを増していきます。
さらにその水が再び凍結してしまうと、屋根自体を傷めてしまう原因になるのです。
水は凍結するとその体積を増す性質があり、吸水性の高い屋根材に蓄積された水が凍結すると、内側から屋根がダメージを受けてしまうので注意しましょう。
耐久性の高い屋根材
雪に強い屋根材には、耐久性も求められます。
雪が降った場合は、一晩で数十センチも雪が積もってしまうケースがあります。
その際に耐久性が劣る(破損・割れやすい)屋根材が使われていると、雪の重みでダメージを受けてしまうのです。
とくにコロニアルやセメント瓦は、劣化すると破損しやすいため、雪に対しては避けたほうが良い屋根材でしょう。
軽量な屋根材
屋根に積もった雪は、屋根に大きな負担となります。
雪が降って屋根の重量が増えることで、年数が経過した躯体に少なからず影響がでる可能性もあります。
そのため、これから屋根リフォームするのであれば、重い屋根材よりも軽い屋根材の方が、リスクを軽減できるので、地震対策も含めて、軽い屋根の選択が望ましいです。
雪に適した屋根材の種類
雪国の屋根材に求められる機能は、「吸水性が低い」、「頑丈さ」、「軽量」です。
それではこの条件を満たす屋根材には、どのような種類があるのか見ていきましょう。
①金属屋根
金属は吸水率が低く、密閉性が高いことから雨漏りのリスクも少なくなります。
さらには耐久性も高く軽量なため、雪国で使う屋根材としてはとてもポピュラーなものなのです。
雪国では金属屋根の割合が「約70%」を占めるとも言われており、その中でも特に人気が高いのは、「ガルバリウム鋼板」です。
この屋根材は、「錆びに強い」、「耐久性が高い」、「耐震性が高い」という特徴があります。
ガルバリウム鋼板は、トタンとは違い、錆に強く、保証が最大25年(穴あき)出ているメーカーもあることから、その耐久性も期待できます。
そして、ガルバリウム鋼板は重さが「5kg/㎡」となっており、屋根の重量負担が軽減できます。
もちろん全く錆びないわけではありませんので、塩害地域などはメンテナンス時期の見極めが必要です。
②陶器瓦
日本海沿岸地域では、昔ながらの陶器瓦を使った屋根が多く見られます。
陶器瓦は表面を釉薬でコーティングしてあるため、吸水性の低い屋根材です。
そして日本海側の地域になると潮風によって「金属が錆びやすい環境」ですが、陶器瓦なら錆びないため雪の多い地域でも多く使われている屋根材となっています。
また重厚感があり、とても頑丈な屋根材です。
もちろん、瓦なのでその厚みから重さがデメリットとなるため、構造躯体の強度には注意する必要があります。
③自然石粒付鋼板
自然石粒付鋼板は、ガルバリウム鋼板や同等のジンカリウム鋼板に自然石粒をコーティングして仕上げられた屋根材です。
吸水性の低さはもちろん、ガルバリウム鋼板よりも耐久性が高く、錆びにくくなっています。
石粒のコーティングにより、ガルバリム鋼板よりも「1kg/㎡」だけ重さが増していますが、ほとんど差はありません。
自然石粒鋼板は、30年保証を出しているメーカーもあります。
また、石粒がストッパーとなり、雪止め金具の役割を果たしており、総合的にみて雪に適した屋根材と言えます。(雪止め金具については下記記載)
デメリットはとくにはありませんが、商品の種類によっては凹凸があるデザインもあるので、雪の重みで変形してしまう可能性があるかもしれないという点くらいでしょう。
落雪対策の雪止め金具とは?
落下防止対策として必要なのが雪止め金具です。
雪止めの役割は、雪が屋根から落下して通行人にあたらないよう対策するためのものです。
この金具は屋根に専用の金具をつけることで雪を支えやすくするもので、設置自体はそれほど難しいものではありません。
しっかりと施工すれば雨漏りの影響もなく、何よりも落雪による事故を防いでくれる安心感があります。
雪は見た目以上に重いもので、新雪でも1立方メートルあたり50kg以上あります。
そのようなものが高所から落ちてきたら、場合によっては大きな事故につながります。
そのような事故を防ぐためにも、落雪対策として雪止め金具は是非つけておきたいものになります。
まとめ
近年、どの地域でも雪の影響が出始めているため、雪に強い屋根材選びは意外と重要になってきています。
雪に強い屋根材は、「金属屋根」、「陶器瓦」、「自然石粒鋼板」などです。
もちろん、これらは雪だけではなく、耐久性が高い屋根材として有名なので雪の影響関係なくおすすめでき、耐震性を考えると「金属屋根」か「自然石粒鋼板」でしょう。
そのほか、落雪対策として「雪止め金具」の設置は必須です。
とくに通行がある道路面では、必ず設置した方が良いでしょう。
これから屋根のリフォームをお考えのかたは、雪の対策もふまえ屋根材選びをご検討してみてください。