新築やリフォームで屋根材を検討する際、「コロニアル屋根」という商品を候補のひとつとして挙げることがあるかと思います。
その中でも、ケイミューの「コロニアルクアッド」と「コロニアルグラッサ」という商品が多く使われています。
ですが、この2つの商品は似ていて、違いがわかりづらい方も多いでしょう。
ここでは、この2つの屋根材の違いと、コロニアル屋根についてもご紹介していきます。
まずコロニアルとは?
瓦やガルバリウム屋根(金属屋根)など、さまざまな屋根材がある中で、よく比較対象として名前があがる「コロニアル屋根」ですが、実はコロニアルとは屋根材の名称ではなく商品名です。
国内最大手の外装建材メーカーであるケイミュー株式会社より発売されているのがコロニアル屋根で、屋根材でいうと「スレート屋根」になります。
しかしスレート屋根の中でもケイミュー株式会社のコロニアルの普及率があまりにも高かったことから、スレート屋根をコロニアルと呼ぶ業者も多くいるというわけです。
コロニアル屋根の特徴
コロニアル屋根(スレート屋根)はセメントと繊維質を混ぜ合わせ、薄い板状に形成された屋根材です。この特徴から様々なメリットとデメリットがあります。
コロニアルのメリット
安価
コロニアルは、他の屋根材と比較して安価で施工をすることができます。
ガルバリウム鋼板葺きが「約¥7500円/㎡(役物含む)」に対して、コロニアル葺きは「約¥6000円/㎡(役物含む)」と、おおよそ「1000~1500円/㎡」くらいの差があります。
屋根が大きいほど、この価格差は広がっていき、コロニアルが割安となります。
軽量
コロニアルは、薄い板状の屋根材です。そのため、軽量な屋根材です。
屋根重量は建物の耐震性能に直接的な影響を与えるため、軽量なコロニアルは建物にとって安心な屋根材といえるでしょう。
多様なデザイン性
コロニアルは瓦やガルバリウム屋根と違い、非常に幅広いデザイン・カラーの品揃えがあります。
その為、和風から洋風の住宅まで、幅広いジャンルの住宅にマッチした屋根材選びを行うことができます。
コロニアルのデメリット
耐久性が低い
コロニアルは薄い屋根材のためデメリットもあります。
それは、経年劣化や衝撃が加わることで簡単にクラックが入ってしまったり、欠けてしまうことがあります。
特に地震や台風などの自然災害の直後は症状が発生しやすい為、要注意が必要です。
防汚性が低い
コロニアルは素材の表面に凹凸がある為、土や埃が溜まりやすい屋根材です。
定期的なメンテナンスを行わないと、汚れが溜まるだけでなく、苔やカビの原因となり、さらには漏水の原因になることもある為、注意が必要です。
寒冷地での施工に適していない
コロニアルは断熱性能が低い屋根材です。
また内部に溜まった水分が凍結することで屋根材が割れてしまうという症状も発生します。
耐水性が低い
コロニアル自体は水を吸収してしまう素材です。
その為、出荷される際には表面に塗装が施されることで屋根材としての機能を果たすようにされています。
しかし屋根材表面の塗膜は経年劣化で剥がれたりします。
そのまま再塗装を行わなければ、コロニアルが雨水を吸ってしまい、漏水などの原因となってしまいます。
アスベストの危険性がある
コロニアルは、強度を保つために、過去にアスベストが使用されていました。
2004年以降はアスベストが使用さなくなっていますが、2004年以前に設置されたコロニアルにはアスベストが含有されている可能性があります。そのため解体する場合に処分費が割高となってしまいます。
コロニアルクアッド、コロニアルグラッサの違い
ケイミュー株式会社が製造発売しているコロニアルですが、中にも様々なグレードの商品があります。
ここからはコロニアルの中でも非常によく使用される、コロニアルクアッドとコロニアルグラッサについて紹介していきます。
コロニアルクアッド
特徴
コロニアルクアッドはコロニアルの中でも最もベーシックなシリーズで、新築やリフォームの現場で非常に多く使用される、所謂「標準グレード」のコロニアルです。
下層「基材」、中層「無機化粧、無機彩石層」の上に、「アクリルコート」を施して仕上げられています。
アクリルコートを仕上げる事で色褪せや耐紫外線効果が得られています。屋根材自体は、耐久性が「30年ほど」とされています。
ですが、発売されてから20年以上経過していないため、10年に1度のメンテナンスが推奨されています。
ひとつ前の「コロニアルNEO」よりは、間違いないく耐久性が良いとされていますが、ノンアスベスト材のコロニアルにはまだまだ耐久性に不安が残るためです。
価格について
おおよそ「¥6000円/㎡」(役物含む)ほどの施工単価となります。
他の屋根材と比べて安価なので、比較的導入しやすい、商品となります。
コロニアルグラッサ
特徴
コロニアルグラッサはコロニアルの中でもハイグレードな位置付けとなっており、高寿命、高耐久、耐色褪せに強いという特徴があります。
それらはコロニアルの表面に「グラッサコート」というケイミュー独自のコーティングに秘密が隠されております。
基盤材自体はコロニアルクアッドと変わりませんが、表面に施されるコーティングが異なります。
クアッド同様に下層「基材」、中層「無機化粧、無機彩石層」の上に、仕上げとして「無機系塗料(グラッサコート)」を塗布しています。
無機系塗料を施すことで、ガラスなどと同様に対紫外線効果が得られ、劣化しづらく変色が起きないという効果を得ることができます。
クアッド同様にその効果は「30年ほど」と言われています。こちらは、仕上げ塗料の耐久性が高いため、10年に1度のメンテナンスが必要なコロニアル屋根のデメリットをカバーする性能を誇っております。
価格について
施工費は、おおよそ「¥6500円/㎡」(役物含む)ほどの単価となります。
費用は、コロニアルクアッドに比べやや高くなります。
ですが、メンテナンス頻度が少なくなること、色褪せがなく美観性が長く保てることから非常にメリットの多いシリーズです。
最後に
屋根材を検討する際によく比較対象とされるコロニアル屋根ですが、グレードは様々で価格や耐久性が異なります。
その中でよく使われる「コロニアルクアッド」と「コロニアルグラッサ」での主な違いは、耐久性です。
仕上がりの塗膜の耐久性が、コロニアルクアッド(アクリル系)が「約8~10年前後」、コロニアルグラッサ(無機系)が「約18~20年前後」となります。
それにともない、費用単価が「約500円/㎡」変わり、100㎡で「約5万円」の計算です。
しっかりと特徴を把握した上で、ご希望に合う適切なグレードを選択するようにしましょう。