屋根材のロングセラーである「セキスイかわらU」。
かつて、屋根を葺き替えるなら「セキスイかわらU」と言わるくらい定番の商品でした。
しかし現在ではメンテナンスの難しさから消費者を悩ましている屋根材でもあります。
この記事では「セキスイかわらU」についてや正しいメンテナンス方法について解説していきます。
セキスイかわらUとは
「セキスイかわらU」はSEKISUIが製造販売を行っていた屋根材で、1970年から2007年まで販売され続けたロングセラー商品です。
「かわら」という名前が付いていますが粘土瓦ではなく、瓦型のスレート屋根でリフォーム用に作られた屋根材です。
当時まだ珍しかったリフォーム用の屋根材だったという点以外にも、瓦型という意匠性、軽くて強い素材、SEKISUIブランドということから、全国で数多くの住宅に採用されました。
しかし諸事情により2007年に販売が中止され、現在でも「セキスイかわらU」に悩まされている施主もたくさんいます。
セキスイかわらUは製造年により強度が違う
「セキスイかわらU」は約40年の歴史の中で仕様が変化しており、その影響で様々な問題が発生しております。
大きく分けると2つの世代に分けることが出来ます。
セキスイかわらU「第一世代:1970年~1990年8月」
1990年8月までの「セキスイかわらU」は軽くて強いことで定評の屋根材でした。
それは屋根材に含まれるアスベストが大きく影響しています。
現在、アスベストは人体に影響を与えることから販売が禁止されておりますが、当時はアスベスト規制が行われる前でした。
アスベストは耐久性、耐熱性が非常に優れている素材です。
当時の「セキスイかわらU」の約15%はアスベストで構成されているといった仕様でした。
しかし日本では1975年以降、アスベストに対する規制が段階的に行われるようになります。
その影響もあり、1990年8月以降は、アスベストを含まない「セキスイかわらU」へ仕様変更を行います。
セキスイかわらU「第二世代:1990年8月~2007年」
「セキスイかわらU」は1990年8月以降、ノンアスベストへ仕様変更を行います。
しかしアスベストの代わりとなるほどの強度を持った建材が無く、「セキスイかわらU」は非常に脆い屋根材へと変化してしまいます。
その結果、直ぐに割れる、表面の塗膜が剥離するといったクレームが相次ぐという事態に陥ってします。
もし自宅の屋根に「セキスイかわらU」が施工されている場合、製造年を調べ、アスベストが含まれているか、ノンアスベスト仕様かを確認することをおすすめします。
セキスイかわらUの製造年の確認方法とは?
自宅の「セキスイかわらU」の製造年を確認する方法がいくつかあります。
1. 施工時の仕様書を確認する。
2. 棟に刻印されたロット番号から確認する
3. 劣化具合から判断する
SEKISUIは2007年に製造販売中止を行いましたが、メンテナンス事業は現在も行っております。
確認が難しい場合は、メーカーに依頼して確認するといった方法が確実です。
アスベスト含有の有無でメンテナンス方法が違う!
屋根材は定期的にメンテナンスを行うことで、強度や美観を保っていく物です。
一般的なメンテナンス方法は、10年に1度の塗装、30年を目安に葺き替えが必要です。
しかし、「セキスイかわらU」の場合、アスベスト含有の有無によりメンテナンス方法が異なります。
アスベストが含まれるセキスイかわらUの場合
アスベストが含まれる「セキスイかわらU」の場合、通常通りのメンテナンスを行うことが可能です。
劣化状況に合わせて塗装や葺き替えを行ってください。
ノンアスベスト仕様のセキスイかわらUはメンテナンスが出来ない?
非常に脆くて割れやすい
ノンアスベスト仕様の「セキスイかわらU」が施主を悩ませる原因は、メンテナンスを行うことが出来ないという点です。
本来、屋根材の塗装を行う際は、古い塗膜を剥がすための高圧洗浄を行います。
しかし、ノンアスベスト仕様の「セキスイかわらU」は高圧洗浄にすら耐えることが出来ずに割れてしまうほど脆いです。
それどころか、点検の為に屋根の上を歩くだけで割れてしまう程の強度の低さです。
塗装しても剥離しやすい
仮に割れが発生し辛い状態だとしても、「セキスイかわらU」は塗膜が接着し辛いという特徴もあります。
実際に、日本3大塗料メーカーである日本ペイントも「セキスイかわらU」には塗装不可と謳っております。
劣化が少ない場合では塗装を行う事もできますが、剥がれやすいため、あまりおすすめできません。
放っておくと割れや欠けが発生し、雨漏れの原因となりますが、それらを防ぐための補修や修理を行う方法で適正なやり方は基本的にはありません。
適正なメンテナンスは葺き替えるしかない
このように塗装や補修を行ってもあまり効果が少ないため、ノンアスベスト仕様の「セキスイかわらU」で劣化が始まった場合、基本的には新しい屋根材へ葺き替えるといったメンテナンス方法しか選択肢がありません。
予算は掛かってしまいますが、雨漏りする前に葺き替えてしまった方が、少しでも費用を抑えられるでしょう。
まとめ
約40年の歴史を持つ「セキスイかわらU」は、ノンアスベスト材となってから不具合が多く発生しています。
とくに、屋根は普段目にする所では無い為、気が付かない間に割れや欠けが発生してしまっているかもしれません。
雨漏れが発生し、被害が大きくなってからでは取り返しがつかなくなってしまう為、ある程度年数が経過していたら屋根の点検をおすすめします。
セキスイかわらUの場合は、アスベスト材の有無を確認して、適切なメンテナンスを行っていきましょう。