棟板金施工後

 

突然やってきた訪問業者に、屋根の不具合を指摘されると不安になりますよね。しかも、屋根には専門的な用語も多く、「棟板金が浮いているから直すべき」と急かされると契約しそうになるかもしれません。

訪問業者による屋根外壁工事に関するトラブルは昔から多いですが、最近では「棟板金(むねばんきん)」に関するトラブルが増えています。

これらの詐欺やトラブルを防ぐには、被害事例や手口を知っておくことが大事です。

棟板金とは?浮きのリスクについて

 

屋根材のもっとも高い箇所に、横向きに設置されている板金が棟板金です。

棟板金は、屋根材の面同士を合わせる形状の屋根において、隙間ができないように取付けられています。

ちなみに、瓦屋根の棟に取付けるのは板金ではなく「棟瓦(むねがわら)」です。

 

棟板金は浮くことがある

棟板金の浮き

 

棟板金は日々雨風に晒されるため、浮きや剥がれが出やすい箇所です。年数としては、築8年前後から釘浮き、板金の浮きに注意が必要となります。

 

棟板金の浮きの原因は?

棟板金の劣化

 

板金材の浮きの主な原因は、「板金の歪み、釘が抜ける」というものです。

棟板金も釘も金属素材のため、「太陽熱で膨張⇒日が沈み気温が下がって収縮」を日々繰り返しています。板金が変形して歪むにつれて釘が抜けることもあれば、釘自体が熱膨張で緩んでくることもあります。

また、下地が木材の場合、腐食すると釘も抜けやすくなります。

※このような板金の浮きを探して指摘してくる訪問業者が数多くいます。もちろん、優良な業者もいますが、悪質な業者もいるためとても問題となっています。

 

こんな手口が…!棟板金の詐欺被害にあわないために知っておきたい事例をご紹介

 

全国あちこちで、「棟板金の浮き」をもととした詐欺被害が多発しています。詐欺被害を防ぐためにも、よくある手口をおさえておきましょう。

 

まず棟板金詐欺とはどんなもの?

棟板金施工後

 

棟板金詐欺とは、棟板金に不具合が無いにも関わらず「棟板金が浮いている」「破損している」と異常だと言い張り不要な工事をもちかけて騙すことです。

棟板金は下から見えないのをいいことに、屋根にあがろうとする業者の詐欺手口です。プロでも近くでみないとはっきりしない異常に、下から見ただけでわかるのは不自然です。

もちろん、本当の場合もありますが、そのまま鵜呑みにしてしまうと大変なことになるケースもあるので注意が必要です。

 

棟板金の詐欺の手口一覧

悪徳営業

 

「お宅の棟板金が浮いているのを見かけた」と突然やってくる業者

 

近所で屋根工事をしていたら見えた」といって、突然訪問営業をかけてくる業者の手口が多数報告されています。

しかし、普通は棟板金の浮きは地上から見えづらいものです。仮に見えるなら、住人や隣家の人がすでに発見しているでしょう。隣の家や、後ろの家などの2Fのベランダなどの近距離なら気づけますが、離れた場所から棟板金のちょっとした浮きを発見するのは難しいです。

このようなケースでは「どこから見かけたのか?」を聞いて、明らかに遠くからと言うようなら、怪しい可能性が高いでしょう。

 

無料といって、とにかく屋根に上りたがる訪問業者

 

とにかく「点検をしましょう」と屋根に上がりたがるのも悪徳業者の手口のひとつです。実際に何も問題が無いのに屋根にあがり、見えないのをいいことに嘘の細工をする事例があります。

バールをもって屋根に上がり、わざと棟を外して写真を撮影。その写真を見せ「大変な被害」と不安をあおって修理をさせる手口も。何ともなかった棟板金を悪徳業者にわざと壊されてしまうのです。

詐欺をする悪徳業者は、とにかく屋根にあがって点検をやりたがる傾向なので注意しましょう。

 

「すぐに直せます!」と修理をし、実はほとんどやっていない

 

すぐに直せるから」と簡単な修理を行い、多くの費用を請求する手口もあります。

本当に棟板金が浮いている場合、それなりに劣化していることがほとんどです。「釘を抜かずにそのまま浮いた釘を打ち付けるだけ」のような簡素な修理を行う業者もいます。

屋根にあがったついでに釘を数本うちつける程度の簡単な修理で済ませた場合、再び棟板金の浮きが起こる可能性が高まるので注意しましょう。

 

棟板金が浮きで雨漏りしていると嘘をつく

 

棟板金の浮きが雨漏りを起こしていると嘘の話をして、屋根全体のリフォームを促してくる手口もあります。

今すぐに修理しないと大変!」「屋根全体の葺き替えが必要」など、あたかも緊急性の高い話をしてくる詐欺です。確かに、棟板金が浮いて隙間ができれば雨が入るため、いずれ雨漏りする可能性は高いです。

しかし、住人から見えないことをいいことに「屋根の方で雨漏りが起こっている」と嘘ばかりつくこともあるでしょう。

現時点で室内にポタポタと雨漏りが起こっているケースなら早めの対処が必要ですが、室内側に目立った異変がない場合は訪問業者の話を信じすぎないようにしましょう。

 

強引に契約させられ、解約を申し出たら受け付けてくれない

 

詐欺業者は、とにかく強引な手法で契約を持ちかけます。家に上がり込んで契約するまで帰ろうとしないケースもあります。

その強引さに泣く泣く契約をし、後日「解約したい」と申し出たところ、受け付けてもらえなかったという被害事例も多発しています。

ただ、訪問販売の場合、「クーリングオフ」で契約を解除できる法律的な制度があります。消費者センターなどの第三者にも相談してみましょう。

 

詐欺被害にあわないために知っておきたいポイントと対策

屋根点検

 

上記のような詐欺被害の手口をいくつか知ったうえで、詐欺被害を防ぐポイントをおさえておきましょう。

 

無料だからとすぐに点検させるのはNG

 

まず、突然やってきてすぐに屋根にあがろうと強く言ってくる業者には注意が必要です。「無料だから」という言葉を聞いても、すぐは応じないようにしましょう。

一般的な屋根業者でも、無料点検は行っているケースが多いです。ただし、点検する場合にはお客様からの話をヒアリングしたうえで、同意のもとに点検をすすめます。

悪徳業者の場合は、強引に点検に持ち込もうとするので怪しむべきです。

屋根の上は下から見えづらく、悪徳業者の手口として「わざと傷つける」という恐れも潜んでいます。見知らぬ業者には、すぐに屋根にあがらせないことが大事です。

 

急いで契約をしないこと

 

詐欺の場合、とにかく契約を急がせます。しかし、お金のかかる工事だからこそ、即決はやめましょう

すぐに雨漏りするから大変」と言われるケースがありますが、棟板金の傷みによって一刻を争うほどの緊急性につながることも少ないです。「今日契約しなければ大変」という事態はないので、冷静に判断することが大事です。

詐欺の場合、ほかの人に相談されないように、一気に契約にサインをもらおうと必死です。

本日はキャンペーン料金」「明日になると通常料金に戻る」など、費用面で契約を急がせることもあります。

しかし、いきなりやってきた訪問業者と、すぐに契約書面を交わすのは絶対にやめましょう。

ただし、雨漏りしていたら、なるべく早めに業者に相談することは大事です。その際は、現状を家族や信頼できる人に相談し、依頼する業者を慎重に選び、納得したうえで工事を行いましょう

 

地元で信頼できる業者に依頼する

 

屋根修理はお住まいにとって大切なメンテナンスです。だからこそ、信頼できる業者に依頼しなければ後悔します。

訪問販売系の業者は「社名を聞いたことがない」「所在がよく分からない」「連絡先が携帯電話だけ」など怪しい点が多いのが特徴です。お客様が不安に思う業務形態をしています。

 

・地元で長く経営している

・充実した内容のホームページがある

・施工事例写真を数多く掲載している

・お客様の声がある

 

など、地元での施工事例が多い業者に依頼することが大事です。

 

本当に傷んでいるなら、早めの修繕が大事

 

棟板金の浮きは放置せず、早めの修繕が必要です。

屋根の隙間をおさえる役割があるため、「浮く=隙間ができる」ということです。隙間があるからとすぐには雨漏りしませんが、雨は間違いなく内部に入り込んでいます。

また、棟板金の下地に木材が使われている場合、浮きで雨水が入り込み腐食していることもあります。

棟板金は「雨を浸入させない」という大切な役割を担っているため、棟板金が浮いている状態は雨漏りにつながるので早めの対処が必要です。

その修繕方法症状ごとにも異なるので、ひとつずつ見ていきましょう。

 

① 固定の釘が緩んでいる

ビス固定

 

棟板金に傷みがなく、釘だけの緩みの場合は、釘のみ補修が行えます。最近では、釘は劣化で外れやすいため、ビスで補強して修理することが多いです。

長くメンテナンスしていない場合、釘穴が広がっているケースが多く、そこに同じ釘やビスをさしても固定力は弱いです。

そのため、修理の際は「別の位置に新しい釘を打つ」「少し大きいサイズの釘を選ぶ」などの配慮が必要になります。

 

② 棟板金の下地が腐食している

下地タフモック

 

木下地の腐食がひどい場合は、新しい下地材への交換が必要です。最近は、耐久性のある樹脂製やガルバリウム鋼板の素材が選ばれています。

棟板金を下地から解体して、下地を交換後、既存の板金材か新しい板金材を取付けて仕上げていきます。

 

③ 棟板金と下地の両方傷んでいる

棟板金施工後

 

板金材の錆や歪み、そして下地材も腐食している場合は両方とも交換が必要です。

板金材はガルバリウム鋼板材を使用して、下地材は木材、樹脂、金属系を使用していきます。

近年では、留め具を釘ではなくビス固定で仕上げることがほとんどです。

 

最後に

 

棟板金に関する詐欺が増えているので注意しましょう。騙されないためには、今回お伝えした詐欺の手口や事例を頭に入れておくことをおすすめします。

詐欺にあわないために特に気をつけたいのが急に訪問する屋根業者です。

 

・住所や連絡先がよく分からない業者

・地元で聞いたことがない

・とにかく契約させたがる

 

など不審な行動には注意しましょう。

ただ、本当に棟板金に浮きがあったら放置せずに早めに修理すべきです。

築年数が古い、しばらくメンテナンスしていないときは、棟板金が傷んでいるケースも多いため、一度点検を依頼することをおすすめします。

訪問業者の詐欺被害にあわないように、慌てず冷静に信頼できる業者を選ぶことが大事です。