粘土瓦屋根

 

一般的に瓦と言ってもいろいろな種類があります。

通常瓦は粘土を使った焼き物ですが、他の素材として「金属、コンクリート、セメント、ガラス」などの素材を使ったものもあります。

しかし一番多いのはやはり昔ながらの粘土を焼いた瓦です。

ここでは粘土瓦について、その特徴や種類についてまとめてみたいと思います。

粘土瓦とは?

 

粘土瓦とは、粘土を煉り合せ、成形して焼き上げられた「伝統的な屋根材」です。

そして主に「素焼き瓦」、「いぶし瓦」、「陶器瓦(釉薬瓦)」と3つに分けられます。

それぞれの特徴

 

【素焼き瓦】

釉薬を使わず焼き上げた瓦

【いぶし瓦】

素焼きの表面をいぶして炭素の膜を作った瓦

いぶし瓦は黒っぽい銀色に輝く昔ながらの瓦で、日本家屋に一番似合った瓦です。

【陶器瓦(釉薬瓦)】

表面にガラス質の釉薬を塗った

釉薬瓦は釉薬によっていろいろな色を出すことができると同時に、水分が浸透して凍ったりしないため寒い地域での凍害や海近くの塩害に強い瓦とされています。

 

瓦は全国で生産されていますが、有名なところは原料である良質な粘土の産地でもあり、昔から焼き物が盛んな地域です。

現在では、愛知県東部の「三州瓦」、島根県西部の「石州瓦」、兵庫県淡路島の「淡路瓦」が有名です。

 

粘土瓦屋根のメリット

 

基本的に焼き物ですので、耐久性が高くメンテナンスフリーです。

1000度以上の高温で硬く焼締められているため、割れにくく風害などがなければ100年以上耐用できると言われています。

瓦は分厚く、それを重ねて使いますから耐候性や耐水性に優れ、耐火性や断熱性にも優れています。

また防音性もありますので、瓦は理想的な屋根材だと言えます。

 

粘土瓦屋根のデメリット

 

デメリットは、重いことが最大の欠点です。

支える柱もしっかりしていないと耐震性に劣ることになってしまいます。

大きい地震で倒壊した建物のほとんどが、「瓦屋根」のお宅です。

建物全体が古くなってくると、心配がでてきます。

 

粘土瓦の形状種類

 

主に、瓦の形状は和瓦の「J形瓦」と洋瓦のスペイン風の「S形瓦」とフランス風の「F形瓦」があります。

【J型瓦】

J型瓦

 

伝統的な瓦のデザイン。

 社寺・城郭・茶室など日本建築が培ってきた屋根瓦の伝統美を基本としたモチーフで、波型の断面が美しく、雨が降った際の水切れもいい形です。

 

【S型瓦】

S型瓦

 

断面がS字のカーブを描いている洋風瓦をS型瓦といいます。Spanishの「S」から名前がついたともいわれています。

赤土色を始めとした温かみのある色合いがよくつかわれています。

カラフルな色のバリエーションも多いのが特徴です。

 

【F型瓦】

 

四角形をした洋風式のシンプルな瓦。波形をなくした平らなデザインとなっており、平らを表す「Flat」の頭文字「F」から名前が付いたとも。

また、平らであることから平板瓦とも呼ばれることがあります。

洋風住宅・和風住宅ともに使われます。最近では軽量化され、F型の軽量防災瓦もよく使われています。

 

各種瓦の名称

そのほか、家屋の形には最も簡単な切妻型から寄棟型、入母屋型などが一般的ですが、それぞれの部位に合わせた瓦を使用します。

一般的には平場を葺く桟瓦と、屋根の先端である軒を飾る軒瓦、屋根の切妻を守る袖瓦、屋根の頂上である棟に置くのし瓦と冠瓦などがあります。

また棟の両端には鬼瓦を置くこともあります。

 

粘土瓦は本当にメンテナンス不要?

粘土瓦

 

焼き物の粘土瓦は、半永久的にメンテンナンスが不要といってよいでしょう。

特に「陶器瓦(釉薬瓦)」は表面のガラス質であることから耐久性もピカ一です。

なお「いぶし瓦」は太陽光や風雨によって表面が変化し、黒色からだんだんと銀色に変わると言われており、逆にその変化を楽しむ人もいます。

よく老練な職人技などの比喩に使われる「いぶし銀」はここからきているとも言われています。

ただし変色はあるものの性能は劣化しないと言われています。

1400年以上前の飛鳥時代の瓦がお寺の屋根に現役で残っているものをみれば納得できるでしょう。

 

粘土瓦以外

 

ただし、粘土瓦以外の棟を固定している「漆喰や銅線」などは経年劣化で不具合がでるので、メンテナンスが必要となります。

漆喰は、新しいものを詰め直し、銅線は巻き直す必要があります。

漆喰補修についてはこちら>>

そのほか、下地の「桟木や野地板」も劣化するため、30年以上経過したら「葺き直し」を検討した方が良いでしょう。

屋根葺き直しについてはこちら>>

 

粘土瓦の修理方法

 

台風で棟瓦が崩れたり、飛来物によって瓦が割れてしまう事があります。

その場合の修理方法は、2つあります。

 

瓦を差し替える

 

瓦は1つ1つが独立しているため、割れたり風で飛んだりしてもその瓦だけを簡単に差し替えできます。

同じで形状の瓦を用意して、サンダーなどで大きさを調整して割れて箇所と交換していきます。

 

コーキング補修

 

同じ瓦がない場合は、割れた箇所をコーキングで接着して補修します。

原型がないほど粉々になってしまった場合は、その箇所を板金でカバーして施工も行えます。

瓦補修の施工事例はこちら>>

 

まとめ

 

瓦には、古来よりの伝統的なものもあれば、波のような代表的なデザインやフラットな板状など、様々なものがあります。

代表的なものとして J型(和形)、S型F型(西欧風や平板瓦を含む洋形)があり、近年の住宅の洋風化に伴い、和風・洋風問わずに使われるF形が良くつかわれています。

また、焼き物の粘土瓦は、半永久的にメンテンナンスが不要ですが、粘土瓦以外の棟を固定している「漆喰や銅線」などは経年劣化で不具合がでるので、メンテナンスが必要となります。

瓦の修理方法としては1枚づつ交換が可能。割れた瓦についてはコーキングでの修復が可能です。

粉々に割れてしまった場合は、板金でカバーする施工方法もあります。

粘土瓦の事で気になる点等あれば、屋根工事を専門に扱っている轍建築までお気軽にお問い合わせください。