屋根材の素材は「粘土瓦やスレート屋根、金属屋根」などがありますが、アスファルトシングル屋根もその一つです。
欧米では100年以上の歴史がありますが、日本では近年やっと浸透し始めたところです。
見た目は、化粧スレートと同様の薄型で、モダンでオシャレな洋風デザインです。
ここでは、アスファルトシングルのメリット・デメリットやリフォーム価格についてご紹介します。
アスファルトシングルとは?
アスファルトシングルとはグラスファイバーにアスファルトを浸透させ、表面に石粒などを吹き付けたものです。シート状で軽く柔軟性もあるため施工しやすく、価格も安いのが特長です。複雑な形状でも簡単に加工ができます。
表面に吹き付ける石粒の色も多種多様で、艶消しの落ち着いた雰囲気の屋根になりますので、和風建築にも合わせることができます。
メリット
耐久性が高い
軽量で柔軟性がありますので、割れませんし錆びることもありません。
表面が石材であるため耐水性はもちろん耐候性にも強く、耐火性や耐久性に優れた屋根材です。
価格がガルバリウム鋼板よりやや安く、耐用年数も商品によって違いますが「10年~50年」と長持ちするのでコストパフォーマンスも抜群です。
加工がしやすい
軽くて柔らかいので、カッターやハサミで好きなサイズに切ったり、折り曲げたりでき、加工しやすいのがメリットです。
このため「複雑な構造」の屋根への施工も、手軽にできます。
軽量・意匠性・遮音性に優れる
カラーバリエーションも豊富で、おしゃれな「デザインが多い」のも魅力となっています。
また表面を覆っている石粒によって雨音を吸収し、「音が響かない」のもメリットです。
さらに、粘土瓦に比べて約1/5の軽量屋根材です。軽量なので、「耐震性が高く」なります。
デメリット
耐風性にやや劣る
シングル屋根は専用の「接着材や釘、ビス」などで固定する工法が一般的です。
軽いのが特徴ですが、一枚当たりの長さ(横幅)も「1000mm前後」と他の屋根材と比べて短いため、風の影響を受けやすく、強風で一部が剥がれるなどのリスクがあります。
石粒が剥がれてくる
表面にコーティングされている石粒が、劣化すると剥がれてきます。
細かな粒状の石ですが、樋や屋根の下のバルコニーなどにたまると、手入れが大変です。
遮熱性・断熱性が低い
そのほか、薄いシート状の屋根材のため、「遮熱性」や「断熱性」などの効果はあまり期待できません。
アスファルトシングル屋根への屋根リフォーム価格
旭ファイバーグラスの「リッジウェイ」を使用した場合
カバー工法:建坪「30坪」屋根面積「80㎡」
工事項目 | 単価 | ㎡数 | 費用相場 |
仮設足場 | 650円 | 160㎡ | 104,000円 |
防水シート | 600円 | 80㎡ | 48,000円 |
リッジウェイ(材工共) | 5,500円 | 80㎡ | 440,000円 |
各種役物(棟板金など) | 1式 | 100,000円 | |
管理・経費 | 1式 | 35,000円 | |
合計 | 727,000円(税別) |
これらを合計すると、税込み価格で約「80万円」となります。
葺き替え工事を行った場合には、上記費用にプラスして、「古い屋根材の解体費・処分費」、「木下地張り費用」、がかかります。
カバー工事費用単価「7,000~9,000円/㎡」(足場代含まず)
シングル屋根へのリフォーム価格は、「商品」、「施工面積」、「屋根の形状」によって異なります。
※価格はあくまで目安となります。
アスファルトシングル屋根を扱っているメーカー(商品)
シングル屋根を扱っているメーカーで人気の商品では、Owens Corning Corporation(オーウェンスコーニング社)の「オークリッジスーパー」があります。
以前は、30年保証の「オークリッジプロ30スーパー」という商品でしたが、グレードアップして長期一生涯保証(制限付き)の「オークリッジスーパー」に変わっています。
日本のメーカーでは、田島ルーフィング株式会社の「三星シングル、ロフティー」や、旭ファイバーグラス株式会社の「リッジウェイ」、七王工業株式会社の「つばめシングル」が知られています。
アスファルトシングルが劣化するとどうなる?
アスファルトシングルは柔軟性のある屋根材ですので、瓦やスレート屋根のように割れる心配はありません。
ただし、経年劣化により、表面に吹き付けた小石が剥がれてバラバラと落ちてくることがあります。
また、劣化が進むと見た目も悪くカビやコケなどが繁殖しやすくなり、さらにシートが劣化して雨漏りの原因ともなりますので、メンテナンスが必要となります。
しっかり接着されたアスファルトシングルはそうそう劣化するものではないのですが、場合によっては剥がれや弛んで隙間ができることがあり、そこから雨漏りが発生することもあります。
築25年~30年を目安に「塗装」、その後は、劣化状況に応じて「カバー工法か葺き替え」を検討する必要がります。
最後に
米国やカナダで主流を占めるのがアスファルトシングルで、耐用年数は20年~30年と長く、価格も安いので人気の屋根素材となっています。
日本では施工がまだ少ない屋根材ですが、新築でもスレート屋根に変わって普及してきています。
アスファルトシングルでは、その価格の安さから「カバー工法」で施工を行うケースも多くなっています。
多種にわたる屋根材がありますが、このアスファルトシングル材も選択肢の一つとして加えてみてください。