破風板(はふいた)は屋根を構成する部位のひとつです。
屋根と同様、住宅を雨風から守る為に存在する部位でもあります。
そんな破風板ですが、昔と今とでは素材が変わるなど進化してきております。
ここでは破風板の素材の違いや、メンテナンス時期の違いなどについて説明したいと思います。
破風板とは?
破風板とは、切妻屋根の妻(ケラバ)部分に取り付ける板を指します。
切妻屋根の場合、屋根4辺に対し2辺に鼻隠しと雨樋が取り付けられ、残りの2辺には何も付きません。
その何も付かない部分に取り付けられたのが破風板です。
では、この破風板は、なぜ必要なのでしょうか?
破風板の必要性
破風板の主な役割は耐風性の向上です。
破風板が無ければ屋内(屋根裏)に風が吹き込み、屋根材を浮かせたり、飛ばしてしまうという恐れがあります。
そこで破風板を取り付けることにより、風が吹き込むのを防止しています。
切妻屋根の場合、雨は屋根の勾配を利用し雨樋に流しています。
しかし横殴り雨の場合は、建物の側面に直接雨があたってしまいます。
その為、破風板を取り付けることで屋内への雨の侵入を防ぐという目的もあります。
火災が発生した場合、火は下から上へ回っていきます。
そこで破風板は、屋根裏へ火が回るのを遅らせるという役目もあります。
破風板を取り付けることで、屋根を構成している垂木や野地板といった下地が見えないようスッキリとした仕上がりになります。
また軒天ベニヤを取付けるための板でもあり、軒天を張ることで屋根を突き出しても美観性を保てます。
上記のように破風板はさまざまな役割を担っており、建物にとって無くてはならない部材のひとつです。
破風板には様々な素材がある?
現在、破風板には様々な素材が使用されています。
それぞれ特徴があるので素材別に説明していきます。
破風板の素材①木材
数十年前は、破風板に木材(ラワン材)が多く使用されていました。
しかし木材の破風板は、木なので「耐火性」はもちろん、「耐久性」も低いため、現在ではほとんど使用されなくなっています。
木の破風板は、少しでも耐久性を持たせるため、塗装により塗膜を張って強度を保っています。ですが、木材は雨に当たることで水分を含み、乾燥する段階で伸縮を行います。
その為、反りが発生したり、塗膜が伸縮に耐え切れず剥がれしまうといった症状が発生します。
塗膜が剥がれると再塗装を行う必要があり、メンテナンスの頻度は必然的に高くなってしまうといった欠点もあります。
破風板の素材②金属系
屋根材にも使用されることが多いのが金属系です。特にガルバリウム鋼鈑は耐久性に非常に優れた素材です。
ガルバリウム鋼鈑は加工性にも優れている為、破風板に使用することが出来ます。
正確には、木下地などの上にガルバリウム鋼板を巻いて仕上げたものです。木材より「耐水性、耐火性」に優れている為、破風板には適した素材です。
ガルバリウム鋼鈑のメンテナンスは主に塗装です。再塗装を行うことで、耐久性だけでなく美観性を保つことが出来ます。
破風板の素材③窯業系
外壁材として使用されることが多いのが窯業系です。窯業系とはセメントや繊維質を原料とし成形した建材です。
超高温で熱処理を行い成形する為、非常に耐火性の高い素材です。
近年の建物には、この窯業系の破風板が主に使用されています。
しかし窯業系は、金属と異なり吸水性があって、雨には強くありません。木材ほどではありませんが、定期的な塗装が必要となります。
破風板の素材④ケイカル板
軒天材としてよく使用されるのだケイカル板です。ケイカル板は、ケイ酸質原料や石灰質原料や繊維や混和材料などが主な原料となっています。
不燃材料であり、しっかりと塗装を行えば、それなりの耐久性が期待できます。
最近では、窯業系が多くなってきましたが、まだ使われている材料です。こちらも、吸水性があるので、放置してしまうと表面がボロボロと剥がれてきます。
破風板の素材⑤モルタル
外壁材と同質に仕上げられたモルタルの破風板もあります。
モルタルは、セメント、水、砂を混合させたもので、耐久性、耐火性に優れています。外壁と同様の質感になるので、統一感と美観性に優れます。
ですが、「導入コストがかかる点」や「技術が必要な点」、「重量があり耐震性に劣る点」などデメリットもあり、モルタル仕上げの破風板はあまり多くはみられません。
耐久性は高いですが、地震や劣化などで、「ひび割れ」が発生するので、外壁などと一緒に塗装が必要となります。
破風板のメンテナンスが必要な時期とは
破風板は大切な住宅を雨風から守る為に欠かせない部位です。その為、定期的にメンテナンスを行い、強度を保ち続ける必要があります。
では破風板はどのようにメンテナンスのタイミングを見極めれば良いのでしょうか。
メンテナンス時期:①木材
木材の破風板は反りやすく、塗装も剥がれやすいです。
塗装が剥がれだすとパリパリと塗膜が落ちてくることもある為、メンテナンスのタイミングは比較的判断しやすいです。
木材の場合は、日当たりにもよりますが、「8~10年」での塗装がおすすめです。ですが、25年を過ぎてくると、素材の劣化から「2~3年」で塗膜が剥がれてしまいます。
25年過ぎてきたら、ガルバリウム鋼板巻きを検討した方が良いでしょう。
メンテナンス時期:②金属系
金属系の場合、塗膜が剥がれたまま放っておくとサビが発生したりします。
金属系の破風板の場合は、15~20年目で塗膜の色あせが出始め、25年過ぎから錆が出てきます。
そのため、「20~25年」を目安に塗装をおすすめします。
メンテナンス時期:③窯業系
窯業系の場合、塗膜の色あせや剥がれだけでなくヒビ割れが発生します。
ひび割れを放っておくとひびが拡大し、部分的に欠け落ちたりしてしまいます。その為、ひびが発生した場合にはコーキングで隙間を埋めるなどといった部分なメンテナンスが必要です。
メンテナンス時期は、外壁塗装などと一緒に「10~15年前後」での塗装がおすすめです。
メンテナンス時期:④ケイカル板
ケイカル板は、窯業系と同様に塗膜の色あせや剥離、ひび割れが発生します。
雨水が染み込み劣化すると、ボロボロと剥がれ落ちてきます。
窯業系よりも耐久性が低いため、「8~10年」に一回は塗装をした方が良いでしょう。
メンテナンス時期:⑤モルタル
モルタル仕上げの破風板は、塗膜の剥離や色あせ、ひび割れが発生します。
ひび割れを放置してしまうと、下地の木材が腐食してモルタルの重みで歪んで下がってきます。
モルタルもボロボロと剥がれ落ちて、簡単に修理ができなくなります。そのため、定期的なメンテンナンスとして「10~15年」を目安に塗装をおすすめします。
まとめ
破風板は大切な住宅を守る為に欠かせない部位です。
しっかりとメンテナンスを行い耐久性を保つことで住宅を長持ちさせることが出来ます。破風板は素材によって、特徴やメンテナンス時期が変わります。
素材を変えることで耐久性を向上させることが出来る為、メンテナンスのタイミングで見直してみるのもいかがでしょうか。