屋根は数種類の木材で形成されていて、その屋根の骨組を支える木材の一部の名称を「広小舞(ひろこまい)」と言います。
広小舞は、屋根の骨組みの中の「垂木(たるき)」という木材を支えている重要な役目を担っています。
ここでは、あまり知られていない屋根の重要な部分である、広小舞についてご紹介します。
広小舞ってなに?
上記でも述べましたが、屋根は複数の木材が重なりあった骨組で形成されています。
広小舞は屋根の軒先に位置し、骨組みの中心である垂木を支えています。
【垂木】
※垂木は、縦に複数並ぶ木材のことで板を支える役割があります。
では広小舞の役割についてご紹介します。
垂木の不揃い、反りを抑える
縦に並ぶ垂木は、細く長い木材ため、変形しやすく先端が不揃いになってしまいます。
そこで広小舞を取り付けることのよって、この不揃いを整え、反りなども抑える役目を果たしています。
また、幅の広い広小舞を使用することにより、内部の野地板を隠し美観を保つ役割もあります。
水溜めの役割
木材の先端の切り口は、水分を吸収しやすく、腐食の原因になってしまいます。
強雨や台風の時に、切り口が濡れてしまわないように広小舞で水溜めしています。
瓦を整える役割
瓦は一枚一枚何列にも、重なって屋根になっています。
同じ瓦を重ねていくと全て均一の角度になりますが、一番下の軒先にあたる瓦は下の支えがなくバラバラな角度になってしまいます。
そこで、瓦を整えるためにあるのが広小舞です。
軒先の瓦がきれいに並んでいるのは、広小舞があるからなのです。
広小舞が腐食するとどうなる?
上記で述べましたが、広小舞には多くの役割があります。
ですが、この広小舞も経年劣化によって、腐食してしまいます。
腐食してしまうと支えている内部の木材にまで影響が出て、屋根全体を傷めてしまう可能性があります。
腐食する原因は?
広小舞の近くに位置している「雨樋の雨漏れ」などの不具合により、腐食してしまうケースがもっとも多いです。
雨樋の勾配が逆になると、正常に雨水が流れず「オーバーフロー(雨水があふれ出る)」して、それが広小舞にかかってしまい、長期的に湿った状態が続くと腐食してしまいます。
また、雨樋以外にも、長期的にメンテナンスを怠ってしまうと腐食の原因となります。
腐食するとどうなる?
腐食して、それを放置してしまうと屋根の内部にまで雨水が進行してしまい、関連する「鼻隠しや軒天」も腐食して、雨漏りの原因にもなります。
また、屋根材も剥がれてしまうこともあります。
全体的に腐食が進むと、屋根全体の工事になってしまいますので、修理の費用も格段と跳ね上がってしまいます。
そのため、腐食に気づいた時や、他のメンテナンスと一緒のタイミングなど、劣化の経過が浅い段階での施工がお勧めです。
広小舞の修理方法
広小舞は風雨にさらされやすい位置にあり、修理や補修のメンテナンス方法もとても重要になります。
修理は状態や素材により施工方法がそれぞれ変わってきます。
塗装による補修
広小舞の劣化の状況がまだ浅い場合は、「塗装」して木材の防水を行っていきます。
価格は比較的安価ですが、その分塗料によりメンテナンスの頻度がやや多くなってしまう場合があります。
塗装といっても仮設足場が必要な箇所なので、「外壁や屋根」と一緒に行うケースがほとんどです。
板金補修
後のことを考え、長期的にメンテナンス不要な「板金で覆う方法」があります。
鼻隠しの板金巻きを行う際に、一緒にカバーしていきます。
板金で覆ってしまう施工方法は塗装よりも耐久性に優れています。
ガルバリウム板金を使用して施工した場合、耐久年数は「20年から30年」とされています。
腐食箇所の交換
腐食が進行してしまっている場合、広小舞全体の取り換え工事か、腐食部分の取り換えになります。
ですが、交換を行う場合「粘土瓦、セメント瓦屋根」以外は大掛かりな作業となりますので注意が必要です。
「化粧スレート」や「トタン・ガルバリウム鋼板」の場合は、部分的に屋根材を剥がすことはできないため、棟からすべて解体しなければなりません。
そのため、粘土瓦以外が腐食した場合には、板金でカバーしてしまうケースが多いです。
広小舞に適した木材
腐食しやすい位置にある広小舞の交換を行う場合に適した木材があります。
それは木材の「赤身部分」(木の内部にある「色が濃い部分」)です。
水に強く腐りにくい木材なので、広小舞の交換や取付けを行う場合に適しています。
まとめ
広小舞は、屋根の骨組みを支える重要な部材です。この広小舞が腐食してしまうと、関連して他の部材が腐食したり、最悪は雨漏りの原因となってしまいます。
補修方法は、「塗装」、「板金カバー」、「交換」です。劣化状況や屋根材の種類によって、適切な施工方法を選んでいきます。
広小舞は、雨樋に隠れていて、なかなか、腐食したことに気づきません。
ですが、腐食すると「2次被害」がでてきますので、定期的な点検、メンテンナンスをおすすめします。