戸建てでは少ないですが、工場や倉庫でよく使われている波状の金属の屋根の事を「折板屋根(せっぱんやね)」と言います。
この折板屋根ですが、どのような特徴があり、メンテナンスの方法や時期はどうすればよいのでしょうか?
ここでは、「折板屋根(せっぱんやね)」について紹介したいと思います。
折板屋根とは
折板屋根は金属素材を使用する上では比較的メジャーな工法です。
金属板を波型に成形し葺く工法で、主に工場や倉庫、カーパートや物置などに採用されております。
折板屋根の主な素材
昔は折板屋根を作る際、トタン板が使用されることが主でした。
しかし昨今は、比較的コストも低く、耐久性に優れたガルバリウム鋼板が最も使用されます。
稀にステンレス板などが使用されますが、コストが高いだけでなく加工が困難な為、あまり一般的ではありません。
折板屋根の工法の種類
折板屋根という工法には主に2種類あります。
それらはガルバリウム鋼板の取り付け方に違いがあります。
重ね式折板屋根
折板屋根の中でも多く採用されるのが「重ね式折板屋根」です。
取り付け金具とガルバリウム鋼板をボルトナットで固定する工法です。
カーポートや物置といった小さな建物に採用され、耐風性に優れた工法です。
ハゼ式折板屋根
取り付け金具をガルバリウム鋼板に直接固定するのではなく、吊り金具を利用して固定するのが「ハゼ式折板屋根」です。
ガルバリウム鋼板に手を加えない為、見た目がスッキリするだけでなく、施工性、防水性、耐風性に優れております。
工場や倉庫や駐車場などの大きな建物に採用されることが多い工法です。
折板屋根のメリットとデメリットについて
ここからは折板屋根のメリットとデメリットを紹介します。
折板屋根のメリット
低コストで施工が行える
折板屋根の最大のメリットはコストにあります。
一般的に建物に屋根を葺く場合、野地板やルーフィングといった下地を造る必要があります。
しかし、折板屋根は下地の必要が無く、取付金具を利用して梁に固定をします。
その為、下地の費用が不要になり、工期も短くなる為、低コストで施工を行うことが出来ます。
耐水性に優れている
折板屋根の特徴は、ガルバリウム鋼板を波型に成形しているという点です。
波型にすることで水はけが良い仕組みになっております。
折板屋根のデメリット
断熱性、遮熱性が低い
折板屋根の特徴である梁に固定するといった工法は、メリットだけでなくデメリットもあります。
それは断熱性、遮熱性が良くない事です。
本来の屋根と違って屋根裏という空気層が無く、ガルバリウム鋼板1枚な為、外の冷気や熱気が室内に届いてしまいます。
音が響く
折板屋根に限らず、金属系屋根の弱点である音の響き。
中でも特に折板屋根はガルバリウム鋼板1枚の為、弱い雨でも音がうるさいと感じてしまうことも多いです。
折板屋根は定期的なメンテナンスを
折板屋根を長持ちさせるには定期的なメンテナンスが必要です。
屋根材の塗装
屋根材のメンテナンス方法といえば屋根塗装です。屋根材は常に外気に晒されている場所の為、経年で劣化をしてしまいます。
その為、外気から素材を守る為にも塗装により塗膜を張る必要があります。
ガルバリウム鋼板の為、ウレタン系、シリコン系が一般的な塗料になります。ウレタン系なら8~10年に1度、シリコン系なら10~12年に一度は再塗装を行ってください。
また遮熱塗料などを使用することで、多少の機能性を持たせることも可能です。
部品交換
折板屋根のメンテナンスは定期的な塗装だけではなく、不具合が発生した際は都度メンテナンスを行う必要があります。
その中でも多いのは取付金具の劣化です。取付金具は劣化の少ないステンレス製が主に使用されておりますが、年代によっては鉄製の金具が使用されております。
鉄製の場合は錆びてしまうと脆くなったり、取外しが出来なくなってしまいます。
錆びる前に交換するなどのメンテナンスを行ってください。
屋根材の葺き替え
屋根材は定期的に塗装を行っていれば永久的に使用できるわけではありません。
いくら定期的に塗装を行っていても、穴が空いてしまったり、反ったりと劣化をしてしまいます。
30年に1度は屋根材自体を葺き替えるといったメンテナンスを行う必要があります。
まとめ
折板屋根は、波型の屋根で雨仕舞が良く、雨漏りに強いです。
昨今では金属屋根の素材自体もかなり進化しており、折板屋根の機能も向上しております。
デメリットは、遮熱性や遮音性に劣る点となります。
折板屋根のメンテナンスは、10年ごとの塗装や部品の交換を行い、30年以上経過したら葺き替えの検討が必要です。
メリットやデメリットを踏まえて、メンテナンス方法や時期をご検討してみてください。