棟板金(むねばんきん)は、屋根を守るとても大事な部材となります。近年この棟板金が「台風や強風などで剥がれる被害」や「訪問業者から浮いていると指摘され」気になる方も多くなっていると思います。
そんな棟板金ですが、その役割やどんな不具合が出てくるのでしょうか?
ここでは、棟板金の「役割や交換の必要性」、「その費用と施工手順」について詳しく解説していきますので、是非参考にしてください。
7.最後に
棟板金とは?どんな役割があるのか
棟板金(むねばんきん)とは、「スレート・金属系屋根」の一番高い尖った部分にかぶせてある山の形をした金属板のことを言います。
屋根のてっぺんからの雨水の侵入を防ぐために取付けられており、とても大事な役割を果たしています。
■素材
素材は、耐久性の高いガルバリウム鋼板が現在では一般的となっています。下地には「木材・樹脂製・板金材」が使われています。
■構造
屋根材の上に下地(貫板)をビス留めして、その下地材に板金材(棟包み)を被せて、釘やビスで留めて仕上げてあります。
棟板金交換の必要性とは
棟板金の棟包みはガルバリウム鋼板と丈夫なのですが、下地に貫板(木材)が使われている事が多く、この下地材とその留め釘により、年数が経過すると不具合が生じてきます。
棟板金の主な劣化症状
棟板金は劣化するとさまざまな不具合が発生します。
・棟板金の釘浮き
・棟板金(本体)の浮き、剥がれ
・木下地の腐食
・棟板金の錆
・雨漏りの発生
棟板金の釘浮きは早くて築6年くらいから、棟板金本体の浮きは10年目頃、木下地の腐食や板金材の錆は18年過ぎ、雨漏りの発生は20年以上ノーメンテンスの場合に起こりえます。
棟板金の釘が浮く原因について
棟板金は、雨風の影響をもっとも受けやすい箇所にあるのにも関わらず、下地に木材が使用されています。
木材は杉板で腐食性の高い材料が使用されていますが、それでも限界があります。長期にわたる雨風の影響で木材は腐食してさまざま不具合が発生してしまいます。
また、雨風による腐食だけではなく、板金材(棟包み)は金属系のため温度差で膨張・収縮します。その影響で釘が緩み釘浮きの原因となってしまうのです。
棟板金交換工事の必要性
棟板金が劣化して釘が浮くことによって、台風や強風時に板金材が剥がれ飛んでしまうリスクが高まります。また、下地の貫板も腐食すると、貫板ごと剥がれてしまうケースもあります。
剥がれてしまうと、飛んだ板金材が近隣の車や建物、最悪は人にあたってしまうこともありとても危険です。また、板金材や下地材が剥がれた状態が続くと、ビス穴から雨水が入り込んで雨漏りする可能性もあります。
このような状況を防ぐためにも、棟板金の劣化を確認したら早めの交換が必要となるのです。
棟板金の交換はいつ行う?メンテナンス時期について
棟板金のメンテナンス時期
釘の打ち直し及び板金の塗装:「10年~15年」
棟板金の交換:「20年前後」
棟板金は「築8~10年前後」で下地の劣化や膨張・収縮によって「釘が浮き」始めてきます。
そのため、屋根塗装などを行う際に、一緒に「釘の打ち直し」を行っておくと効率が良いです。その後、「築20年前後」で木下地が腐食してくるので、このタイミングが交換時期としてべストとなります。
棟板金は定期的に点検を行う事が大事
棟板金は下からではみえずらく、なかなか不具合に気づくのが難しい箇所です。そのため、下記の状況を目安に点検をおすすめします。
・外壁塗装や屋根塗装を行う際
・訪問業者に指摘された場合
・台風がきた後
訪問業者に指摘され、たまに本当に劣化して浮いている事もあります。ただし、その場合は訪問業者に点検を依頼せず、地元の信用できる屋根屋さんに調査してもらいましょう。
また、台風後は屋根の不具合リスクが高まります。問題が無いか、確認を行っておくと安心できるかと思います。
棟板金交換の費用はどれくらい?
棟板金交換の費用
交換費用の目安:「¥4500~6000円/m」
①既存棟板金解体費・処分費
②下地調整費
③木下地取付け
④棟包み取付け
⑤コーキング仕上げ
棟板金交換工事の場合は、「m数」が長いほど、単価も下がります。
反対に「m数」が少ない場合には、人件費を考えると「¥25,000~」の価格設定となる場合が多いです。
屋根勾配によっては、棟板金交換のみの作業も仮設足場は別途費用かかってきます。
タフモック下地の費用
近年では、スギ板の代わりに「タフモック」という樹脂製の下地材が使用されています。
タフモックは、腐らないので、長期間メンテナンス不要となります。
棟板金交換費用に、おおよそ「¥500~800円/m」プラスされます。
そこまで単価も高くはないので、近年では需要が多くなっています。
棟板金交換工事の施工手順
棟板金施工前の状況です。
築20年目で屋根塗装のみメンテナンスされていたお宅ですが、釘浮きが目立つようになってきたため、棟板金の交換を行っていきました。
高所作業のため、仮設足場を設置してからの工事となります。
まずは既存の板金材(棟包み)を解体していきます。
解体を行うと劣化した木下地材がみえてきます。20年も経過すると全体的な劣化もそうですが、釘留め箇所の腐食が進んでいました。
この腐食が釘浮きの原因となっています。
劣化した木下地も解体していきます。
木下地解体後は下地調整を行っていきます。解体後の屋根の清掃や屋根材が割れていた場合などにコーキングで補修を行っていきます。
次に新しい下地材を取付けていきます。新しい下地には樹脂製のタフモックを使用しています。
木材は腐食しやすいため樹脂や金属系の下地材が多くなってきています。
取付けた下地材に棟包みを被せていきます。こちらも固定は釘ではなくビス留めが多くなっています。
釘は板金材の熱の膨張や収縮で抜けやすいため、ビス留めに変わってきています。
最後につなぎ目から雨水の侵入を防ぐためにシーリング処理を行っていきます。
マスキングで養生を行い、綺麗に仕上げます。
シーリング処理と清掃を行ったら棟板金交換工事の完了です。
日数はm数にもよりますが「1人作業で約1日」で完工します。その後、仮設足場を解体していきます。
火災保険の適用について
棟板金交換工事は「半日から1日」で完了してしまう、屋根の修理の中では比較的簡単な作業です。
ですが、基本的に高所作業になるため、仮設足場の設置は必要となります。仮設足場の費用が高いため、棟板金だけ直すにも大きな出費となってしまいます。
そこで、自然災害による被害限定となりますが、ご自身の火災保険会社に棟板金の修理が適用されるのか確認してみましょう。
一般的に、自然災害であれば火災保険の「風災」に該当し、棟板金交換工事も保険費用で行えます。急な出費を抑えるためにも、対象の方は火災保険を利用していきましょう。
ただし、その他の適用条件として「被害から2~3年以内(期間は保険会社による)」、「一定以上の金額から(保険会社や内容による)」などがありますので、申請には注意が必要です。
最後に
棟板金は、屋根を雨風から守っている大事部分です。しかし雨風の影響を受けやすい箇所にあるため、経年劣化も早いので定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンスを怠ると、棟板金が剥がれる原因となり、剥がれ飛んでしまうと「通行人や他の建物・車」を傷つけてしまう場合があるので注意が必要です。
自然災害で棟板金に被害があった場合、火災保険が使えます。
被害に合われた方は、火災保険なども上手く活用して、早めの対処をおすすめ致します。
棟板金交換工事NAVI