屋根のリフォームを検討している人の中には、GL鋼板(ガルバリウム鋼板)の屋根にしようとお考えの方も多いと思います。
しかし、ガルバリウム鋼板の屋根と言っても、「横葺き」と「縦葺き」の2種類が存在するのをご存知でしょうか。これからリフォームをするのであれば、どちらを選べばいいのか迷う人もいるはずです。
そこで今回は、ガルバリウム鋼板の基礎知識から横葺きと縦葺きの違いや特徴について紹介してきます。
ガルバリウム鋼板とは
まず始めに、ガルバリウム鋼板とは、ガルバリウムという名前の合金でメッキされた鉄のことをガルバリウム鋼板と呼びます。正式な名称は、「55%アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板」です。
1972年よりアメリカで初めて開発され、2017年以降は日本でもトップシェアを誇っているほどの人気です。
ガルバリウム鋼板が人気の理由は、耐久性やデザイン、メンテナンス性などのあらゆる性能において優れている点です。
また、軽量ということもあり、従来の屋根を剥がす必要がなく、屋根の上から重ね合わせてリフォームをおこなうカバー工法が実現可能となりました。そのため、コストも削減し、短期間で工事を完了することができるようになっています。
ガルバリウム鋼板のメリット
耐久性・耐震性に優れている
ガルバリウム鋼板の特徴としては、「耐久性や耐震性、断熱性」などに優れている点です。
ガルバリウム鋼板はおよそ25〜30年ほど「耐久性能」があると言われています。さらにメンテナンスなどもおこなうと、40年以上の耐久性能があります。
その他の屋根材が20〜30年と言われているので、かなり長期間に渡って使うことが可能です。
また、ガルバリウム鋼板は非常に軽いので、「耐震性」にも優れています。
地震が発生した際には建物が激しく揺れるので、屋根が重いだけで大きな負荷がかかりますが、ガルバリウム鋼板の重さは粘土瓦屋根の約1/10とも言われています。
そのため、ガルバリウム鋼板は地震にも強いのです。
割れたり汚れにくい
瓦やスレートなどの屋根材の場合、経年劣化などによって割れて雨漏りが発生することもあります。
しかし、ガルバリウム鋼板の場合は金属が素材となっているので、割れたりすることがありません。
また、他の屋根材であれば月日が経過する度に、湿気や雨水を吸収してカビやコケが発生することもありますが、ガルバリウム鋼板の場合は湿気や雨水を吸収しないので、コケなどで汚れる心配もないのです。
修繕費用を抑えられる
ガルバリウム鋼板は修繕費用やメンテナンス費用も抑えることができます。
仮に台風や地震などの自然災害が発生した場合、屋根が粘土瓦だったりすると、剥がれたり損傷するリスクがあります。しかし、ガルバリウム鋼板であれば、強風、大雨にも強く、台風や地震がきても損傷することがほとんどないため、修繕費用が抑えられます。
また、スレート屋根材やセメント瓦などと違い、塗装によるメンテンナンスも必要としません。
デメリット
導入費用が高い
スレート屋根の施工単価が1㎡あたり「4,500〜7,000円」に対して、ガルバリウム鋼板の施工単価は1㎡あたり「6,000〜12,000円」(商品による)ほどです。
そのため、他の屋根材と比べると導入費用が高い傾向にあります。
サビが発生する
ガルバリウム鋼板は金属なので、サビが発生します。
海の潮風や工場の排気ガス、落ち葉などがガルバリウム金属と接触すると、サビの原因となります。ガルバリウム鋼板も完全万能ではないため、そこは注意が必要です。
縦葺きと横葺きの違いについて
では、ガルバリウム鋼板の縦葺きと横葺きでは一体、何が違うのでしょうか。
一番大きな違いとしては「雨水の流れやすさ」です。
縦葺きの場合は縦じまのようになっており、雨が流れる進行方向に屋根材が葺かれています。施工店によって、この縦葺き屋根を「立平葺き」、「縦平」、「縦ハゼ葺き」などと呼んだりもしています。
一方の横葺きでは、雨が流れる方向に 段差があります。そのため、縦葺きよりも雨水が入り込みやすく、条件によっては雨漏りなどの原因にもなるので注意が必要です。
雨水の流れやすさだけみると縦葺きの方がいいと感じるかもしれませんが、どちらにもメリット・デメリットが存在します。それぞれの特徴をみていきましょう。
縦葺きのメリット・デメリット
メリット
縦葺きの最大のメリットは、屋根材に切れ目がなく雨水がスムーズに流れ、勾配が緩やかな場合でも施工できる点です。横葺きでは、2~2.5寸勾配以上ないと施工できないため、その点はかなりの強みとなります。
そのほか、縦葺きはあらかじめ工場でカットされた板金を屋根に貼り付けていきますが、一枚あたりの長さや幅が大きいため、広範囲に張ることができるので、施工期間も短縮しやすいです。
デメリット
一方で縦葺きのデメリットとしては、複雑な形状をしている屋根の場合には細かい板金の加工が必要となり、手間がかかるためコストがあがります。
また、デザインの種類も少ないので、横葺きに比べてシンプルなデザインになります。さらに、断熱材がセットになっている商品もほとんどありません。
横葺きのメリット・デメリット
メリット
横葺きのメリットは、デザインの種類が豊富です。
また、複雑な形状にも対応しやすいので、住宅だけではなく、神社や仏閣などにも横葺きが用いられています。
そのほか、屋根材に直接重ね葺き(カバー工法)することも可能なので、縦葺きのように下地材(構造用合板)を張る必要がなく、コストがおさえられます。
デメリット
横葺きは勾配が最小2寸以上と決められており、緩い勾配の屋根には施工が出来ない点がデメリットとなります。
そのほか、断熱材なしの横葺き屋根材の場合は、その形状から施工時に傷や凹みが出やすい点もあげられます。
施工依頼時の注意点
ここからは、実際に施工を依頼する時の注意点を3つ紹介します。
相見積もりをおこなう
工事を依頼する時には、相見積もりをおすすめします。
理由として、とくに訪問販売などの営業では、通常の相場価格よりも高額な金額で提示してくることがほとんどです。
恐らく、大半の人はリフォームの詳細な相場までわからないため、とても割高なことに気づかないということもあります。
そのため、1社だけではなく、必ず複数の業者に見積もりおこなって比較しましょう。
実績が十分にあるか確認する
実績がある会社か確認しましょう。
屋根の施工は、業者によって屋根材の種類や形状によって得意不得意がある場合も少なくありません。
そのため、そのお宅に適した施工実績が無い会社に依頼すると、施工不良になる可能性もあり、施工終了後に雨漏れなどのトラブルが出る場合もあります。
実績がある会社は、そのお家に合った適切な施工の提案及びを工事を行ってくれますので、必ず実績がある会社か確認しましょう。
保証・アフターサービスがあるかを確認
保証・アフターサービスがあるかも確認しておきましょう。
施工が終わった後に、重大な欠陥が見つかったとしても、保証がなければ泣き寝入りするしかありません。
このようなケースは決して珍しくないので、万が一のことも考えて施工が終了した後の保証内容やアフターサービスがあるか、必ず確認しましょう。
まとめ
今回はガルバリウム鋼板の基礎知識から横葺きと縦葺きのメリット・デメリット、依頼するときの注意点について紹介しました。
横葺きと縦葺きにはそれぞれの特徴があるので、どちらが良いとは一概には言えません。
ただし、住宅によってはどちらかができないという場合もあるので、今回の記事を参考に自分の家にあったものを選択していきましょう。