軒天上

 

一戸建ての屋根は外壁の範囲内に収まってはおらず、外壁の外にまで突き出ているのが一般的です。

この、外壁よりも外側に出ている屋根のうち、真下から見上げた時に見える天井部分に当たるのが「軒天(のきてん)」です。

この軒天ですが、経年劣化や自然災害によって、剥がれて破損することがあります。

ここでは、そんな軒天の役割から、また剥がれる原因と、その劣化の症状が現れた時の修理方法かなどをご紹介していきします。

軒天の役割とは?

軒天の位置

 

軒天は建物にとって、とても重要な箇所あり、「雨風を防ぐ」、「延焼拡大を防ぐ」、「結露対策」、「美観を保つ」など大事な役割があるのです。

それぞれ、解説していきます。

 

雨風を防ぐ

 

この屋根から突き出た軒天があることで、雨や風から外壁やその他の部材を保護する目的があります。

もちろん、完全に防ぐことはできませんが、接触する雨量が減ることで、劣化速度の低下につながります。

 

延焼拡大を防ぐ

 

軒天があることで、火事が発生した時に、屋根部分への延焼を防ぐ役割もあります。

仮に軒天がない場合、火事が起こって窓から火が上がると屋根に火がつき被害を受ける可能性が非常に高いのです。

もちろん、軒天があれば屋根の被害を完全に防げるわけではないものの、軒天があることで屋根部分への燃え広がりを抑える効果が見込めます。

 

結露対策のため

 

結露が発生する屋根裏は多く、いかにして湿気を抑えるかは屋根を長く使い続ける上で非常に重要なポイントです。

軒天には結露対策としての意味合いもあり、軒裏に換気口を設置する、もしくは最初から穴が空いた有孔板を軒天に使用することで換気を促す効果が見込めます。

建物よってこの通気口がない軒天もありますが、軒天は結露対策としての効果が期待できます。

 

美観を保つため

 

見た目の問題で、もし軒天がない場合には野地板など屋根の裏側が下からそのまま見えてしまい、景観の面であまりよくはありません。

屋根の裏側のあまり見られたくない部分を隠す、これも軒天が持っている重要な役割です。

 

軒天が剥がれる原因は?

剥がれた軒天

 

軒天は、主に経年劣化や自然災害で剥がれてしまいます。

そのため、剥がれる原因やその過程を知って、メンテンナンス時期を考えなくてはいけません。

この剥がれてしまう原因について細かくご紹介します。

 

経年劣化

 

軒天が剥がれる原因の多くは、雨や風を長期間受けて、天井ベニヤが劣化し剥がれてしまうケースです。

約15年~20年を目安に、「しわ」や「めくれ」などが発生して、腐食して剥がれてきます。

定期的に塗装を行っても、材質が木材の場合はある一定の時期がきたら修理が必要です。

 

自然災害

 

剥がれる原因で次に多いのが、自然災害です。

とくに台風などの「強風」で、軒天が煽られて剥がれてしまうケースが良く起こります。

ですが、ある程度メンテナンスをしていなかった軒天が対象となります。

しっかりと塗装や修理を行っている軒天は、台風が来ても剥がれることはあまりないです。

 

雨漏り

 

最後に、軒天内部に雨漏りが発生して、ベニヤが腐食したことによる剥がれです。

屋根から雨漏りして軒天が傷んで剥がれてしまうケースも良く起こります。

また、屋根以外にも破風板からなども原因の一つです。

雨漏りの場合は、まず雨漏りの原因を解決してから軒天の修理を行う必要があります。

 

軒天が剥がれた場合の修理方法

軒天張替え

 

軒天が剥がれてしまった場合には、2通りの修理方法があります。

それは、「重ね張り」と「張替え」です。

どちらも、メリットとデメリットがありますので、注意が必要です。

 

軒天カバー工法(重ね張り)

 

重ね張りとは補強した現在の軒天を下地として使い、新たにボードをその上に張る修理のことです。

既存の軒天を剥がす手間や処分費が削減できるので、張り替えるよりもコストが抑えられます。

デメリットとして、重ねると厚みが出てしまうため、部分的にカバー工法を行うと美観が低下してしまいます。

そのほか、既存軒天の状態が悪いと、重ね張りができないことがあります。

 

軒天張替え工法

 

張り替えは、現在の軒天を取り除いて新たな軒天を張る修理方法です。

張替えの場合は、剥がれた箇所のみ部分的に施工を行う事ができ、劣化したベニヤもなくなるのでスッキリとします。

まれに、軒天内部に鳥の巣などがあると、一緒に綺麗に取り除き清掃が行えます。

ですが、カバーと比べ、張り替える手間下地調整費(補強)を行う事で、費用が割高となります。

 

軒天の剥がれは火災保険が使える?

 

軒天は強風による被害を受けやすい部位のため「風害の補償」が含まれているのであれば、火災保険が使えるケースは多いです

もちろん重要なのは、「経年劣化」ではなく自然災害による影響で剥がれてしまったケースです。

保険の調査員に、経年劣化が原因と判断された場合には、保険が適用されません。

ですが、もともと多少経年劣化していても、最終的に剥がれの原因となったのは「台風」や「強風」である場合には対象となり得ますので、保険屋さんに確認を取った方が良いでしょう。

 

まとめ

 

屋根は全体的に雨風など自然の影響を受けやすい部位ですが、軒天に関しても例外ではありません。

下から吹き上げる強風・強雨、屋根の雨漏りなどの要因によって軒天が剥がれるなどのダメージを受けることは十分に起こり得るため、ある程度の築年数が経過しているのであれば被害がないかを注視しておきたいところです。

もし、剥がれてしまった場合には、「カバー工法」もしくは「張替え」を行って修理を行っていきましょう。

剥がれた状態をあまり放置してしまうと、2次被害の雨漏り鳥の巣や鉢の巣ができてしまう原因となりますので注意が必要です。