和室の天井の雨漏れ

 

雨漏り」と「結露」はどちらも建物にとって悪影響を与えることが多く、早急な対応が必要です。しかし、この2つの違いはわかりづらいため、間違えてしまうと根本的な原因に対処することができません。

そこで今回は、雨漏りと結露の見分け方や判別ポイントとそれぞれの対処方法を解説します。

雨漏りと結露の見分け方と判別するポイント

 

雨漏りと結露の見分け方には、雨漏りの発生する場所時期、発生した水の状態によって異なります。ここでは、雨漏りと結露の見分け方と判別するためのポイントを解説します。

 

発生場所 

リビングルーム

雨漏りの場合

 

雨漏りが発生する場所は、「天井や壁などさまざまな場所」から発生する可能性があります。

屋根の劣化が原因の場合には、「天井にシミ」ができることもあります。また外壁の劣化が原因の場合には、「壁やサッシまわりにシミ」ができることもあります。

天井や壁やサッシまわりのシミは、雨漏り」を疑った方が良いでしょう

 

結露の場合

 

結露が発生する場所は、「サッシ枠や窓台などの開口部まわり」に多く見られます。

アルミサッシの場合には枠に水滴が付くこともありますし、シングルガラスなどの場合にはガラス全体に発生することがあります。

外壁の内部に結露が発生することもありますが、室内の天井や壁部分には水分が見られることはほとんどありません。

 

発生時期 

雨

 

雨漏りの場合

 

雨漏りの発生は屋根材や外壁材などの劣化によっても発生するため、時期による違いはあまりありません。しかし台風シーズンや梅雨時期など雨や風が多い時期に発生した場合には雨漏りの可能性が高くなります。

特に台風では雨と風が同時に発生することで普段の雨では入り込まない場所から雨水が侵入する可能性もあります。

雨が降っている日に発生するかどうかも判断基準のひとつ」になります。

 

結露の場合

 

結露が発生する時期は、「冬など寒い季節の外気温が低くなる時期」に発生します。

外気温が低くなるのに対して室内では暖房などを使って温度を保っているため、外と室内の温度差が大きくなることで結露が発生する原因になります。

また現在の建物は気密性が高いため、外気に接しているサッシなどに結露が発生することが多くなります。

 

水の状態

雨漏り

 

雨漏りの場合

 

雨漏りの水の状態は、屋根や外壁の劣化した場所から直接雨水が侵入するため、流れるような水の状態が一般的です。

雨漏り箇所によっては「汚れた雨水が流れてくる」こともあります。

ただし、わずかな隙間から徐々に入り込んでしまう雨漏りの場合には、流れるような水の状態ではなく、水滴が溜まった状態でみつかることもありますので、間違えないように注意が必要です。

 

結露の場合

 

結露の水の状態は、サッシ枠や窓台など外気に面した場所全体に水滴が発生します。

ただし、サッシ枠全体に発生した結露が流れて窓台に溜まった状態では、結露を雨漏りと間違えないように注意が必要です。

 

雨漏りと結露の対処方法は?

 

雨漏りと結露が発生した場合には、早急な対応が必要になります。どちらの症状も放置することでさらに悪化してしまう可能性が高くなります。ここでは雨漏りと結露の対処方法を解説します。

 

雨漏りの対処方法

 

雨漏りが発生した場合には、発生場所や原因をしっかりと確認した上で修理する必要があります。雨漏りの原因に合わせた適切な処理をすることが大事です。

 

屋根からの雨漏り

屋根の補修工事

 

屋根からの雨漏りの対処方法は、「屋根材の補修」や「差し替え」、「防水シートの張り直し」などを行います。雨漏りが発生している屋根材の状況を把握することが重要となります。

屋根材の劣化や破損が原因で起こる雨漏りでは、劣化した部分の交換や修理をすることが理想的ですが、簡易的な処理としてコーキングで隙間を埋めることもあります。ですが、応急処置としてはこのコーキング作業でも効果がありますが、コーキングが劣化してしまうと、また雨漏りの発生に繋がってしまうので注意が必要です。

 

外壁からの雨漏り

防水工事 コーキング

 

外壁からの雨漏りの対処方法は、「外壁材の補修や交換」のほかにも「コーキング処理」を行います。

外壁材のひび割れや割れが原因で雨漏りが発生している場合以外にも、外壁材のジョイントやサッシまわりのコーキングが劣化することが原因となっていることもあります。

サッシまわりで雨漏りが多く見られる場合には、コーキング処理による対処が有効です。

 

バルコニーからの雨漏り

笠木交換施工後

 

バルコニーからの雨漏りの対処方法は、「防水機能を回復する再塗装」や「笠木の補修」、「排水口のつまり除去」などを行います。

バルコニーの床部分がモルタルの場合は、ひび割れなどで雨漏りすることがあります。そのモルタルに新たに防水層を設けることで修理することが可能です。

もっとも多い雨漏り箇所は笠木となります。笠木とは手すりの板金の事で継ぎ目などから雨水が侵入します。この板金を補修や新しくすることで、改善することができます。

そのほか、排水口のつまりが原因で雨漏りすることもあるため、排水口を常に綺麗にしておくことが日々の対処法として有効です。

 

結露の対処方法

 

結露が発生した場合には、外気温と室内の気温差を意識して換気を行うことが大事です。また結露が発生する根本的な解決策としてサッシのリフォームなどを検討することも良いでしょう。

 

換気を行う

換気

 

結露の対処方法は「換気を行う」ことです。

結露が発生する原因は、外気温と室内の温差が原因になっていることが多く、室内の換気や除湿機などで対応することが可能です。結露の発生する寒い時期には難しいですが、こまめに換気を行うことが結露の発生を防ぐ対策になります。

 

サッシのリフォーム

2重サッシ

 

結露の対処方法としてサッシのリフォームがあります。

費用がかかってしまうデメリットはありますが、サッシのガラスを「ぺアガラス」に交換したり、「2重窓」にする方法などがあります。

さらに一般的な住宅に多く採用されている「アルミサッシから樹脂サッシへ交換」することで結露を防ぐ効果が期待できます。サッシ枠に発生する結露はサッシに使われている素材の熱の通しやすさが影響しています。アルミサッシよりも樹脂サッシにすることで外の気温を伝えにくくする効果が期待できます。

 

雨漏りと結露を放置する危険性

 

雨漏りと結露は、放置することで建物にさまざまな悪影響を与えることになります。ここでは、雨漏りと結露を放置した場合の危険性を解説します。

 

カビやダニの発生

カビ

 

雨漏りや結露を放置することで、屋根裏や外壁の内部などに湿気が溜まりやすくなります。

わずかな雨水の侵入であっても常に湿気がこもってしまう状態は建物にとってもよくありません。建物に使われる建材に湿気を好む害虫や「カビ、ダニ」が発生しやすい環境になる可能性が高くなります。

カビやダニの発生は、建物の腐食や劣化につながるだけでなく、住んでいる方の健康被害にも発展する危険性があります。

 

シロアリ被害

住宅とシロアリ問題のイメージ

 

主に雨漏りによる湿気によって木材の「シロアリ被害」が発生する危険性があります。シロアリは柱や土台、壁の下地などといった建物にとって重要な構造体に広がります。

柱や土台など構造上重要な木材が劣化や腐食することで建物の強度が低くなります。建物の強度が低い状態では地震などによる耐震性も期待できません。老朽化している建物では倒壊の危険性もあるので注意が必要です。

 

構造体の腐食や劣化

構造体の腐食

 

建物の構造上重要な構造体の腐食や劣化は、湿気やシロアリによる被害で進行します。構造体の劣化や腐食が見つかった場合には、「柱や梁、土台の交換」など大規模な修理が必要になることもあります。

劣化や腐食を放置した期間が長くなるほど、広範囲での修理が必要になり、必要な費用や工事期間が長くなる傾向にあります。

 

まとめ

 

雨漏りと結露の見分け方は、「発生している場所」や「時期」、「水の状態」によって判別することが一般的です。特に結露の発生条件は雨漏りに比べて限定的なことが多いので、結露の可能性が低い場合には、雨漏りを疑って原因を追求したほうが良いでしょう。

結露の対処方法としてはこまめな換気が効果的です。外気と室内の温度差が原因で発生することが多いので、サッシを樹脂サッシに変更したり、ペアガラスに交換することも有効です。

雨漏りの場合には、発生する原因がさまざまで一般的な対処方法はありません。雨漏りが疑われるシミなどを発見した場合には、被害が大きくなる前に早めに業者による点検や修理を依頼することが大事です。