棟瓦とは瓦屋根の頂上である棟にある瓦を指しています。
この棟瓦は、経年劣化しますし、台風などの自然災害で影響を受けやすい箇所でもあり、メンテナンスを考えている方も多いと思います。
ここでは、棟瓦はそもそもどのような役割を果たしているか、そじて、固定方法などについて説明していきたいと思います。
棟瓦の役割とは
そもそもなぜ棟瓦を設置する必要があるのでしょうか?
まずは、棟瓦の役割についてご紹介します。
雨漏り防止の役割
棟瓦の最大の役割は雨漏り防止です。
瓦屋根は軒先から頂上に向かって重ね合わせるように葺いてあります。
そのまま何もしないと屋根の頂上である結合部から雨が侵入してしまう為、それらを防ぐために被せる様な形で棟瓦を施工します。
美観性の向上
他にも棟瓦の役割は美観性を向上させるための役割もあります。
棟は外観からも目立つ部分で、屋根を印象付けるパーツです。
一昔前は棟瓦が高く積まれていると格式の高い家と判断されていました。
棟瓦にも様々な種類があり、屋根を美しく彩るようにできています。
棟瓦の固定方法の種類
棟瓦の施工方法は大きく分けて2種類あります。
工法により様々な特徴があるので、それぞれ認識しておきましょう。
湿式工法
湿式工法とは、粘土・南蛮漆喰(水分を含んだ材料)などを使用して棟瓦を積み上げる工法です。
粘土や泥、最近では南蛮漆喰で土台を作り、のし瓦を積み重ね、銅線で棟瓦を固定して仕上げます。
また冠瓦一本伏せ工法という、下地の固定金具と下地材を取付け、まわりを南蛮漆喰で塗り固め、ビスや釘で固定する工法もあります。
この湿式工法は、経年劣化により「10~15年」に1度は漆喰補修、「20~30年」に1度は積み直しというメンテナンスが必要です。
補修やメンテナンスを行わないと、棟瓦のズレや落下の原因になります。
湿式工法のメリット
湿式工法のメリットは、仕上がりの美しさです。
側面の漆喰仕上げは瓦屋根らしい見栄えに仕上げることが出来ます。
また、湿式工法だと一昔前のように棟瓦を高く積むことも出来ます。
湿式工法のデメリット
湿式のデメリットは重さです。
粘土や漆喰は重く、のし瓦を積む高さにもよりますが、棟瓦で掛かる重量は約100kgという重さになります。
そのため、耐震への影響が懸念されます。
また、のし瓦を積む枚数に応じて手間が増えるため、その分費用が高くなる傾向があります。
乾式工法
乾式工法とは、固定金具と下地に木材または樹脂を取付け、その上に面戸シート(水分を含まない材料)を張り、ビスで固定して仕上げる工法です。
イメージとして、冠瓦一本伏せ工法で南蛮漆喰を使うのが「湿式工法」、使用しないで仕上げるのが「乾式工法」です。
地震が多い日本では屋根の軽量化が重要視されており、重量の重くなりがちな湿式方式に対して、近年はこの乾式工法の使用頻度が増えています。
乾式工法のメリット
乾式工法のメリットは耐久性が高いという点です。
泥や漆喰よりも、金具・木材だけの方が長期間メンテナンスが不要となります。近年では、下地に木材ではなく、樹脂を使用することで腐食しないので、より長期間の耐久性が期待できます。
また湿式に比べて1/10程の重量で施工が出来る為、耐震にも安心な工法です。
そのほか、メンテナンス費などのランニングコストを考えると乾式工法は非常に魅力的な工法です。
乾式工法のデメリット
乾式工法のデメリットは、特にありませんが、上げるとすると和風デザインが薄れてしまう点です。
和瓦というと、のし瓦を高く積んで漆喰で仕上げるデザインが印象的ですが、冠瓦一枚仕上げのため軽い感じの仕上がりになります。
そのため、昔ながらの重厚感のある瓦屋根の印象が薄れてしまうという点です。
まとめ
棟瓦は住宅を雨漏れから守るだけでなく、屋根の美観を表現する重要なパーツです。
固定方法には、昔ながらの泥や漆喰で仕上げる「湿式工法(水分を含む)」と軽量化に特化した金具、木材、シートだけで仕上げる「乾式工法(水分を含まない)」があります。
どちらの固定工法もそれぞれメリットやデメリットがある為、棟瓦のリフォームを行う際には、比較してご検討してみてください。