雨漏りによって壁や天井のクロスにシミが出てしまうことがあります。クロスのシミの原因は、雨漏りや結露なと発生した場所によって異なります。そこで今回は、クロスのシミの原因と修理方法について解説します。
クロスにシミが出る原因は? 雨漏りの場所別に解説
天井のクロスの場合
天井のクロスにシミが出る原因には、天井のすぐ上の構造や劣化状況が大きく影響しています。
屋根材の劣化、破損
天井のすぐ上に屋根がある場合には、屋根材の劣化や破損による雨漏りを疑ったほうが良いでしょう。
屋根は、強風や地震などによって瓦がずれてしまったり破損することはあります。破損した部分は屋根の下地となる防水紙や木下地が風雨に晒されることで雨漏りに発展します。
天井の上がバルコニーなど
天井上にバルコニーがある場合は、バルコニーの防水層の劣化(ひび割れなど)による雨漏りも考えられます。
またバルコニーの排水口が詰まっていることで流れが悪くなり、オーバーフローすることで起こる雨漏りが原因となることもあります。
そのほか、手すりの笠木部分からも雨漏りするケースもありますので注意が必要です。
天井上の外壁が劣化、破損
天井よりも上の外壁材の劣化や破損が原因で、雨水が外壁の内部を伝って天井にクロスのシミとして出てくるケースも少なくありません。
2階建て以上の外壁から雨漏りした場合には、雨水が通った場所を特定することが難しいため注意が必要です。
天窓まわりの防水処理が劣化
屋根に設置された天窓の経年劣化による雨漏りもよく起こります。
屋根に設置された天窓まわりは、コーキング材(パッキン)によって防水処理が行われています。天窓まわりのシーリング材は紫外線や風雨による影響を大きく受けるので、劣化が進みやすくコーキングのひび割れや剥がれなどに発展します。
また、屋根材と天窓との取合いから雨漏りするケースもあります。このケースの場合は、屋根の葺き替え工事など修理費用がかかる工事となる可能性があるため注意が必要です。
壁のクロスの場合
壁のクロスにシミが出る原因には、外壁材の劣化や破損だけでなく外壁に付帯している設備や構造が原因となることがあります。
外壁材の劣化、破損
壁面のシミの場合でとくに多いのが、外壁材の劣化や破損などによる雨漏りです。そのほか、コーキング材の劣化により各種取合いから雨水が侵入します。
ジョイント部の劣化
サイディング外壁ではジョイント部分に充填されているコーキング材の劣化や剥がれによって、外壁内部へ雨水が侵入するケースも少なくありません。ただし、ジョイント部分のコーキング材が劣化したり剥がれてしまった場合でも、建物の構造体には防止シートが張られています。剥がれたコーキング部分からすぐに雨漏りに発展するわけではありませんが、雨水が外壁材自体の裏側にまわることで、外壁材の劣化や下地の木材が腐食してしまう原因になります。
サッシまわりの劣化
サイディング外壁のジョイント部分と同様にサッシまわりにもコーキング材が充填されています。コーキング材は経年劣化によってひび割れや剥がれが発生するため、劣化したコーキング材の隙間から雨水が侵入することがあります。
エアコンホースの継ぎ目からの雨漏り
エアコンの取付穴やエアコンホースの継ぎ目からの雨漏りするケースもあります。
エアコンを設置するためには外壁に穴を開けて室内のエアコン本体と繋ぐ必要がありますが、その外壁に開けられた穴の処理を適切に行っていなければ、取付け穴やエアコンホースの継ぎ目などからの雨漏りが発生する原因となります。
換気フードからの雨水の侵入
換気フードまわりは一般的にコーキング材によって隙間が充填されています。経年劣化によってコーキング材が劣化することで雨水の侵入を許してしまうことがあります。
また台風などの強風時には、風に吹き上げられた雨水が換気フードから入り込んでしまうこともあります。換気フードは換気扇を通して室内に繋がっているため、換気扇まわりのクロスにシミができる原因となります。
天井のクロスのシミは雨漏り以外にも原因がある?
天井のクロスにシミが発生する原因には、雨漏り以外にも屋根裏の結露によるシミや天井裏に通っている配管の劣化、動物の糞尿などが考えられます。
屋根裏の結露
雨漏りの他の原因で間違いやすいのが、屋根裏の結露によるシミです。
屋根裏で発生する結露は、普段の生活では発見することが難しく、クロスにシミが発生して初めて気づくこともあるでしょう。
結露は屋根裏と外気との温度差が大きくなると発生するため寒い時期にだけ発生していることが一般的です。1年を通して屋根裏で結露が発生しているわけではないので、発見が遅れてしまう原因になります。
屋根裏の結露を防ぐには、屋根裏に換気扇を設置するなど外気との温度差を少なくする工夫が必要です。
天井裏に配管が通っている
2階に水回りがある建物の場合には、天井裏に設置された配管から水漏れが起こることがあります。配管からの水漏れは一度に大量の排水があふれる場合を除いて、1滴1滴少しずつ水漏れするため気づくことが難しいです。
真上に屋根やベランダが無く、外壁からも遠い場所にシミが出来た場合は、配管の水漏れを疑った方が良いでしょう。
動物の糞尿
鳥やハクビシンなど屋根や外壁のわずかな隙間から、屋根裏に入り込んでしまう動物がいるので注意が必要です。このような動物による糞尿によって、天井のクロスにシミがでることもあります。
小さな動物の侵入を防ぐには、屋根裏に続く隙間をしっかりと塞ぐことが重要です。
クロスのシミの修理方法と費用について
雨漏りによって天井や壁のクロスにシミが出た場合には、クロスの張り替えが必要になります。ただし、下地が傷んでいなければ、クロスの清掃だけでも綺麗になることがあります。
クロスのシミの修理方法は原則として、雨漏りが完全に止まったことを確認してから行う必要があります。雨漏りの原因を根本的に解決してからでなくては、クロスの張り替え後にまたシミが出来てしまうことがあります。
雨漏りの染みだけを消す
雨漏りによるクロスのシミの中でも、下地に傷みが見られない場合にはシミだけを消すことも可能です。クロスのシミを消すには、漂白剤などを使って清掃します。
一般的なビニールクロス以外のクロスが施工されている場合には注意が必要です。珪藻土クロスなどは漂白剤による清掃ができないこともありますので注意が必要です。
部屋全体の張り替え
クロスのシミが出た部屋全体を張り替えることで、下地に傷みが出ている場合でも広範囲に渡って劣化に対応することができます。8帖程度の部屋の傷んだ下地の取り換えとクロス張り替えにかかる費用は「10万円前後」からです。
部屋全体の張り替えをするメリットは、広範囲の下地補修のほかにも、部屋全体が新しいクロスで綺麗になります。さらに部分的な張り替えによってできるクロスの繋ぎ目が出ないことです。クロスの繋ぎ目は経年劣化によって、隙間ができやすく剥がれの原因にもなるためできるだけ少ないほうが良いでしょう。
部分的な張り替え
クロスのシミが出た部分だけを張り替えることで、部屋全体の張り替えに比べて費用を抑えることができます。しかし、部分的にしか補修を行わないことで下地の劣化を見逃しやすいデメリットがあります。
クロスにシミが出た部分の傷んだ下地の取り換えとクロス張り替えにかかる費用は「6万円前後」からです。クロスの繋ぎ目は浮きや剥がれの原因になるので部分的に張り替えて修理する場合であっても、できるだけ天井や壁の面など部屋の角で区切って補修するほうが良いでしょう。クロスの繫ぎ目や補修跡が目立たない仕上がりにすることができます。
まとめ
クロスにシミができる原因は、屋根や外壁の「劣化や破損」による雨漏りのほかにも「結露や水漏れ」などさまざまな原因が考えられます。
クロスのシミの補修を行う際には、雨漏りの原因をしっかりと追及して根本的な解決をすることが重要です。
クロスのシミの修理方法は、シミの程度によって清掃で綺麗になる場合から張り替えが必要な場合に分かれます。張り替えの範囲を決定するには、雨漏りによって天井や壁、下地がどの程度傷んでしまっているかを正確に把握することが大事です。
クロスのシミは、放置すると大変なことになってしまうケースもありますので、見つけたら早めに原因を調査して適切な処理を行っていきましょう。