屋根の見えない箇所でありながら、実は最も重要な部分である野地板。
野地板は、屋根材や防水紙の基礎になっている重要な木下地材です。
この野地板が腐食すると、屋根材が剥がれたり、雨漏りの原因ともなります。
屋根リフォームを行う際には、「野地板工事」や「ベニヤ張り」などのみ記されていることが多く、どのようなものが使用されているのか不明なケースが多いです。
稀に、野地板の品質が悪く、屋根に不具合が発生して、問題になってしまうこともあります。
このようなケースを避けるため、どのような野地板を使用しているか、要確認する必要があります。
今回は、この野地板について「種類」や「メンテナンス方法」などをご紹介します。
野地板ってなに?
野地板とは「スレート瓦」や「粘土瓦」など、屋根と呼ばれる所には必ずある木の下地材のことを言います。
野地板は屋根の性能を維持するために無くてはならない役割があり、またいろいろなグレードの種類があります。
野地板の種類
野地板には主に3種類の代表的なものがあります。
厚みや材質、その建物の年数や特徴、地域により使い分けられます。
構造用合板(野地合板)
構造用合板は一般の住宅に最も多く使用されているものになります。
サイズや厚みなどにさまざまな種類があり、特徴としては、耐震性・耐風性があり厚みのある合板ほど耐久性があります。
ですが屋根への負担を考慮すると「9~12mm」程度の厚みがオススメで良く用いられます。
厚みが少ないと、強度が低下しますし、厚みがありすぎると、屋根の重量が増えて、耐震性に影響がでるため注意が必要です。
また、構造用合板とよく間違われるのがコンパネ(コンクリートパネル)です。
コンパネは、主にモルタル系の左官工事の型枠に使用される木材です。
両者を比較すると厚みやサイズが似ていて一見同じ物のように見えますが、規格や品質が全く違うものになりますので注意してください。
構造用合板には等級も設けられており、強度証明もすることができます。
杉のバラ板
杉のバラ板は幅約「90mm~120mm」のサイズの屋根の下地材のことです。
昔の「粘土瓦」や「瓦棒屋根」などで、この杉のバラ板が屋根下地として主流でした。
小幅板や荒野地、杉坂と表現されることもあります。
名称の通り、それぞれバラバラの板でわざと間隔を設けて施工します。
間隔を設けることによって通気をよくし乾燥させます。
そのため湿気による影響を受けにくく、腐食を防止することが可能です。
しかし近年、下葺材の品質が向上し防水性能が上がって、雨漏りリスクが大幅に低減したため、杉のバラ板を使用することはほとんどなくなりました。
耐火野地合板
名称の通り火に強い、「耐火性」のある材質の野地板になります。
建築基準法の準防火地域、防火地域内では耐火野地合板の使用が義務となっています。
また、耐火野地合板の中でも種類が多くあります。
特に木毛セメント板と木片セメント板がよく使用されています。
種類により耐火性能だけではなく「断熱、遮音性能」に優れた製品もあります。性能が優れているため高価にはなります。
野地板が腐食するとどうなる?
野地板は屋根同様、経年劣化し雨水の侵入により腐食してしまう恐れがあり、腐食してしまうと建物内に「雨漏りやカビの発生」の恐れがあります。
また、屋根材は基本的に野地板にビスや釘で固定しているため、腐食すると剥がれてしまいます。
台風などで、よく剥がれてしまうお家の屋根のほとんどが、この野地板の腐食が原因です。
そのため、腐食を防ぐためにも定期的にメンテンナスや点検を行う事が重要です。
耐用年数としては、構造用合板が「約30年」、バラ板が「約40年」とされています。
野地板のメンテナンス方法
野地板のメンテナンス方法ですが、「増し張り」と「張り替え」があります。
増し張り
増し張りは、既存の野地板の上から新しい野地板を重ね張りする方法です。
バラ板を使用している場合にこの方法が主流ですが、構造用合板でも、増し張りを行う事が増えています。
野地板は基本的に垂木に釘を効かせて固定していきます。
そのため、仮に既存の野地板が腐食していても、問題はありません。
ですが、増し張りは重量が増え、屋根の負担が大きくなります。
増し張りを行う際には、新しい屋根材を軽量なものを選んでいく必要があります。
張替え
張り替えは、既存の野地板をすべて剥がしてから新しく野地板を張っていく方法になります。
腐食が酷い場合や粘土瓦から粘土瓦へなど重量が変わらないケースで行われます。
ですが、張替えを行うと、手間がかかって費用が掛かりますし、固定している垂木を傷めてしまうことがあります。
そのため近年では、基本的には増し張りが多く行われている傾向にあります。
まとめ
野地板は見えないところでとても重要な役割をしている、木下地材です。
見えないからこそ知る機会も少なく、メンテナンスが疎かになりがちな部分です。
耐用年数も長いため、安心しがちですが、雨漏りなどで劣化が起こってしまっては、カビが発生してしまうだけではなく耐用年数が一気に下がってしまいます。
本来の耐用年数の前に生活に支障が出てしまうなどの問題が出ることも想像に難くありません。
野地板の重要性を理解し、品質の確認やメンテナンスできる機会をしっかり把握しておきましょう。