屋根の一部である、屋根の軒先に付いている『鼻隠し』をご存知でしょうか?
あまり耳にしたことがない言葉だと思いますが、とても重要な役割のある屋根の部材です。
鼻隠しは、軒先についている板材のことで、屋根の形状にもよりますがほとんどの住宅に鼻隠しはあります。
そんな鼻隠しですが、実は雨風の影響を受けやすく傷みやすいのです。
そのため、経年劣化しやすい部分にもなりますので気にしてあげることが必要です。
鼻隠しの役割ってなに?
鼻隠しには、多くの役割がありますが、一番重要なものとして「屋根内部への雨風の侵入を防ぐ」ことです。
住宅というのは上から吹く風よりも、下から吹き上げる風に弱い傾向があります。
そこで、下から吹き上げる風を分散させる他、雨水の侵入を防ぎ腐食からくる湿気やカビを防止するなど、屋根だけではなく、住宅全体を守る大きな役割をするのが鼻隠しです。
他にも「雨樋の下地としての役割」や、「野地板や垂木の切口部分を鼻隠しで覆い美観を整える役割」などがあります。
鼻隠しの素材について
鼻隠しの素材はさまざまで、「木材、金属系、窯業系、ケイカル系、モルタル系」などがあります。
使う資材によりコストやメンテナンスの頻度が異なってきます。
木質系
木材を使う鼻隠しは費用を抑えることができますが、メンテナンスの頻度が他の素材のものよりも高くなってしまいます。
というのは、紫外線の影響を受けやすく劣化スピードが早いからです。
ガルバリウム鋼板(金属)系
木材の上からガルバリウム板金という金属系の素材のものを使い覆うことを「板金カバー」といいます。
ガルバリウム板金というのは耐久性や耐火性が優れている素材になります。
なので、このガルバリウム鋼板をすることにより約30年の耐久性があるとされており、木材の鼻隠しよりもメンテナンスの頻度を極端に下げることができます。
窯業・ケイカル系
窯業系は、耐久性や耐火性にすぐれており、近年はこの素材を用いることが多くなっています。
また、ケイカル板もよく使用されています。
どちらも木質系に比べて、腐食しないので耐久性が高く、不燃材なので耐火性にも優れています。
ですが、経年劣化で表面がひび割れたり、塗膜がボロボロ剥がれてくるため、定期的な塗装は必要となります。
モルタル系
モルタル系の耐久年数は木材と金属系の間くらいになります。
木材ほどのメンテナンス頻度は必要とされていませんが、モルタル系の性質上、クラック(ヒビ割れ)などの劣化が起こる場合があります。
破風板との違いは?
鼻隠しと破風板にはそこまで大きな違いはありません。
破風板も軒先に付けられる板の事で、役割などもほぼ同じです。
違いとしては、鼻隠しは「地面と平行にある軒先にある板」のことを言いますが、破風板は「地面と平行ではない、傾斜になっている面にある板」のことをいいます。
雨樋が付いている板が鼻隠しであり、破風板には雨樋を取り付けられません。
上記のように位置や、雨樋の有無の影響で破風板の方がやや傷みやすいです。
鼻隠しには雨樋があるため直射日光を防いだり、ダメージが少ないのですがむき出しのそのままの破風板には、直射日光や、雨が直接あたってしまうことで劣化スピードを早める原因になっています。
もし鼻隠しが傷んでいたら、破風板も当然傷んでいると思ってください。
鼻隠しが腐食するとどうなる?
鼻隠しは破風板より、劣化のスピードは早くはないですが、当然劣化はしてしまいます。
鼻隠しの劣化原因としてあげられるのは、雨水によるダメージです。
雨が降るたびに、雨樋にたまる水がはねたりを繰り返し「腐食の原因」になります。
腐食してしまうと、広小舞や軒天まで雨水が浸入し内部まで腐食させてしまいます。
屋根にまで影響が出てしまうと大きな工事になってしまう可能性も高く、費用がそれなりに掛かってしまいます。
そうなる前に、鼻隠しの現状を把握し、メンテナンスを施すことが大切です。
メンテナンスの目安としては、塗膜が剥がれかけてきていると思った時が頃合いです。
鼻隠しの修理方法
傷み具合や劣化状態により修理の方法も異なってきます。
簡易的なメンテナンスで「塗装工事」、次に「板金カバー工事」、もっとも腐食や劣化が酷い場合には「交換」となります。
当然、早めの処置をすることにより費用は抑えられます。
塗装による修理
修理方法の一つは「塗装」です。
その鼻隠しの素材あった塗料で再塗装をします。
塗装をおすすめするのは、それほど傷みがひどくない場合になります。
費用としても塗装が一番リーズナブルです。
板金カバーによる修理
二つ目はガルバリウム鋼板(金属)を、木材の上から覆う「板金カバー工法」です。
先ほども述べました通り、塗装はメンテナンスが他のものよりも多くなってしまうことに比べ、ガルバリウムを上から被せることにより、メンテナンスの頻度を下げられます。
先のことを考えて、コストを下げたい方には板金で覆ってしまう方法をお勧めします。
板の交換(取り換え)
最後の方法として、鼻隠しの板を解体して新しく取付けて交換する方法です。
新しい板が木板の場合は、「仕上げに塗装」を行うか「板金巻き」を行っていきます。
板金巻きの方が、耐久性が高いのでおすすめです。
もちろん木板以外にも、新しい板を「窯業系やケイカル系」にすることで耐久性を向上させることもできます。
まとめ
一概に屋根といっても、屋根にはいろいろな名称の大切な役割を持っている部分がたくさんあります。
今回の鼻隠しも、目立たないけれど大事な役割りをもち、この部分が劣化してしまうと気付かないうちに内部も傷めてしまう可能性があります。
一つ一つの役割が、屋根や住宅を良い状態に守ってくれています。
この記事で鼻隠しや破風板を知って頂けたなら今一度住宅に目を向けてみてください。
早めに気付けることが、住宅の美観や安全を保てることに繋がります。