屋根材のひとつにシングル屋根(アスファルトシングル材)と呼ばれるものがあります。
加工しやすいなどのメリットがあるうえに「耐久性や防水性」にも優れていることもあって、新築ではスレート屋根に変わって、このシングル材が使用されるケースが増えています。
ただまだ一般に広く知られているとは言えない面もあるだけに、この屋根材の特徴や塗装の必要性とその費用について疑問に思う方も多いと思います。
ここでは、シングル屋根の「特徴」、「塗装時期」、「塗装単価」についてご紹介しています。
シングル屋根の特徴について
このシングル屋根の特徴はその名称にも出てくるように「アスファルト」を使用している点です。
ガラス繊維の基材に対してアスファルトを浸透させ、表面を石粒で保護した屋根材です。
屋根材の下地に使用する防水シート(ルーフィングシート)に、石粒を付着させて耐久性と意匠性を向上させているイメージです。
メリット
シングル屋根材は、アメリカやカナダで普及しており、少しレトロな雰囲気を感じさせつつ洋風のテイストを感じさせるデザイン性です。
スレート屋根材に比べて「耐久性」や「防水性」に優れており、メンテナンスコストが抑えられる点がメリットです。
シート状の屋根材のため、屋根の形が複雑だったり、変わった屋根形状でも施工しやすく、融通性が利く点も高く評価されています。
デメリット
その洋風なデザイン性のため、和風のお宅には不向きであるという点はデメリットです。
また、屋根材が薄くて軽いため、施工が甘いと強風時に剥がれたり、飛散してしまうケースが高くなる点はとくに注意が必要でしょう。
シングル屋根の劣化症状は?
変色・褐色
シングル屋根の劣化症状として「変色・褪色」がおきます。
これは、紫外線に晒されている影響で発生する劣化の初期症状となります。
屋根材の浮き、石粒の剥がれ
紫外線を浴び、雨水を吸収し続けることで、起こるのが「浮き」です。
浮きがってしまうと、ひとつひとつのパーツの間に隙間ができてしまうことで、剥がれやすく、雨水も下地に入り込みやすくなってしまいます。
また、表面に石粒がコーティングされていますが、雨風に晒されているうちに石粒が「剥がれ」て落ちてしまい、防水性の低下につながります。
カビや汚れ
「カビやコケ」の発生なども注意しておきたい劣化症状です。
屋根材の防水性が薄れていることが原因でカビやコケの発生してきます。
どれぐらいの期間で塗装をやりなおす必要がある?
日当たりや湿気、さらにアスファルトシングルメーカーの商品によって違ってくるので一概には言えない面もありますが、「10年保証」の商品が多く「20年」を目安と考えておくとよいでしょう。
ただ近年では、品質の向上でより長く状態を保てるタイプも増えています。
そのため「25~30年目」でシングル屋根の塗装を行うケースが多い傾向にあります。
また、アスファルトシングルの場合は、カバー工法もできますので、塗装だけではなく他のメンテナンス方法も比較して検討していくと良いでしょう。
シングル屋根の塗装単価について
屋根面積:50㎡~70㎡(25坪~30坪)
費用相場は、「33.5万円~42.5万円」です。(ウレタン塗料使用)
【内訳】
施工内容 | 費用の目安 |
仮設足場(メッシュシート含む) | ¥120,000円 |
高圧洗浄(水洗い) | ¥25,000円 |
下地調整費 | ¥10,000円~¥25,000円 |
下塗り | ¥42,000円~¥56,000円 |
中塗り | ¥49,000円~¥59,500円 |
上塗り | ¥49,000円~¥59,500円 |
縁切り | ¥10,000円~¥30,000円 |
各種諸経費 | ¥30,000円~¥50,000円 |
小計 | ¥335,000円~¥425,000円(税抜き) |
比較的塗装しやすい屋根材ですが、「下地調整」や「縁切り」をきちんと行う必要があり、作業の質が問われます。
塗料グレード別の平米単価
塗料のグレード | ㎡単価 |
アクリル塗料 | ¥1,500円~¥1,800円 |
ウレタン塗料 | ¥2,000円~¥2,500円 |
シリコン塗料 | ¥2,200円~¥2,800円 |
遮熱塗料 | ¥2,400円~¥3,000円 |
フッ素塗料 | ¥3,500円~¥4,500円 |
塗料のグレードは、「シリコン系」が多く使用される傾向にあります。
シングル屋根の最適な塗料は?
基本的な塗装方法は「水性塗料」を使用していきます。
油性の塗料を使ってしまうとアスファルトが溶けてしまう恐れがあるため使用されません。
• 水性シリコンベストサフェーサー(下塗り)
• 水系シリコンベストⅡ(中塗り・上塗り)
• 水性シングルサーフ(下塗り)
• 水系ヤネフレッシュシリーズ(中塗り・上塗り)
• 水性アスファルトシングル用(下塗り)
• 水系カスタムシリコン(ウレタン系)
• 水系ナノシリコン(シリコン系)
まとめ
シングル屋根は、スレート屋根に比べて耐久性や防水性能に優れ、軽量な屋根材です。
近年のシングル材は、塗装によるメンテナンスも「25~30年」が目安となり、コストパフォーマンスが良いです。
ですが、メンテナンスを怠ると、不具合が出やすいため注意が必要です。
屋根の状況をみて、適切な時期にしっかりとメンテナンスを行うことが長持ちの秘訣となります。