スレート差し込み

 

化粧スレート屋根(コロニアル)は、年数が経つとひび割れ剥がれが発生します。

その際に、破損したスレート屋根を「一枚」や「数枚」だけ修理できないかと思う方も多いでしょう。

結論から言いますと、部分的に差し替え(交換)は可能です。ですが、さまざま注意点や差し替えできないケースもありますので、施工を行う前に確認が必要です。

ここでは、スレート屋根の差し替えを行う場合の費用や注意点について解説していきます。

スレート屋根が割れやすい理由

 

まず、スレート屋根材は「コロニアル」や「カラーベスト」とも言われますが、基本的に同じ屋根材を指します。

このスレート屋根材はセメントを主体として、繊維質で強度を補った5mmほどの板材となり、新築時は表面に塗膜がコーティングされており、その塗膜で雨水や紫外線から素材を守っています。

しかし、この塗膜によるコーティングは年数の経過により剥がれ落ちてしまいます。

 

スレート屋根が割れる原因

屋根材ひび割れ

 

塗膜が劣化して防水性を失ったスレート屋根は、雨天時に雨水を吸収するようになります。

雨水を吸収して湿った状態が続くことで、コケが繁殖するようになり、美観の低下につながります。

また、雨天時に湿って、晴れの日に乾いてを繰り返すことで、強度が落ちたり、屋根材が浮く(反り)原因となります。

スレート屋根材が浮くことで、時間の経過とともにひび割れに繋がります。

 

スレート屋根の割れを放置するとどうなる?

雨漏り箇所

 

スレート屋根の割れを放置することで、屋根材が剥がれて地上に落下します。落下することで、車や歩行者などに接触する危険性があります。

また、一番の問題は防水シートの劣化が進むことです。割れた箇所から直接「紫外線や雨水」が防水シートにあたると劣化が進みや破損につながります。

防水シートが破損すると、そのまま内部に雨水が入り込み「雨漏り」に繋がってしまいます。

 

割れたスレート屋根の修理方法

 

ひび割れたスレート屋根の修理方法は主に「コーキング補修」、「差し替え」、「板金カバー」の3種類あります。

それぞれメリットデメリットがあるので、ご紹介します。

 

コーキング補修

コーキング補修

 

ひび割れたスレート屋根にコーキング(接着)を塗って補修する方法です。もっとも手軽で簡単に行える点がメリットですが、補修跡が目立つことと、コーキングの劣化とともに割れが再発する点がデメリットです。

透明のクリアコーキングでも屋根材が劣化していると艶が出て多少目立ちます。

基本的には単体よりも屋根塗装」とセットで行う事が多いです。塗装を行うことで補修跡が目立たなくなり、コーキングの耐久性も上がるためです。

 

差し替え

スレート差し替え

 

スレート屋根の部分的修理で一番行われるのが、この差し替えです。

割れた箇所だけピンポイントで新しく交換できますし、同じ系統の色で仕上げることで他の修理方法と比べてそこまで目立たなくなる点がメリットです。

ただし、新しいスレート屋根の取付けは釘打ちができないため、コーキングで接着する形となります。また、解体時に外した釘穴もそのまま残るため、多少の雨漏りリスクも残ってしまう点がデメリットです。

しっかりと釘打ちで施工する場合は、棟板金からその割れた箇所まで上から剥がして張替える必要があります。

 

板金カバー

板金カバー

 

この板金カバーは、スレート屋根の上にガルバリウム鋼板をカバーして仕上げる工法となります。

板金をカバーすることで、コーキング補修のようにひび割れの再発リスク、差し替えのように解体後の釘穴のリスクもなくなります。また、手軽に仕上げることもできる点がメリットです。

しかし、セメント系と金属系で質感がまったく異なるので、部分的に施工を行うと目立ってしまいます。

補修を行った感じがしっかりと出てしまう点がデメリットです。

板金カバー工事の施工事例はこちら>>

 

スレート屋根の差し替え費用はどれくらい?

屋根差し替え

 

スレート屋根は「釘で屋根材を固定」しているため、釘を抜くか切って差し替える必要があります。

一枚だけ交換する場合は、取付け時はコーキングでの接着となります。費用は、材料代(スレート屋根材とコーキング)、作業費、処分費の計算となります。

きちんとした施工(釘止め)を行う場合は、天辺の棟板金まで屋根材を剥がしていく必要があります。

軒先に近いほど、剥がす枚数も多いため費用がかかります。

 

一枚のみ差し替え:「1万~3万円」

何枚か張替え:「5万~20万円」

 

スレート屋根の差し替えの施工手順について

 

スレート屋根の差し替えも場所によって施工方法が変わります。

 

一枚のみ差し替え

既存の屋根材の解体

スレート釘抜き
まずは、既存の割れた屋根材を解体していきます。釘で固定されているので「スレーターズリッパー」で留め釘を抜いて、屋根材を引き抜いていきます。

新しい屋根材の取付け

スレート差し込み
解体した箇所を清掃して、可能な範囲で旧釘穴にコーキングを流し込みます。その後、新しい屋根材にコーキングを塗って、差し込んでいきます。

仕上がり

スレート差し替え後
取付け位置の微調整を行い、ある程度コーキングが乾いたのを確認して、完了となります。

棟板金付近のスレート屋根の交換

棟板金の解体

スレート釘抜き
まずは、棟板金を解体していきます。板金材と下地を取外します。

既存屋根材の解体

スレート解体
次に留め釘を抜いて、割れた屋根材を解体していきます。

新しい屋根材の取付け

スレートビス留め
ビス穴にコーキングを打ち、新しい屋根材をビスで留めていきます。

仕上がり

棟スレート差し替え後
屋根材取付け後に、また棟板金を戻して完了となります。

差し替えが出来ないコロニアル屋根材の事例

ノンアスベストの初期製造屋根材

ノンアスベスト屋根材

 

とくに有名なケイミューのコロニアルNEOニチハのパミールなどの屋根材は、自然災害での割れや破損というよりも商品の欠陥により剥がれたりします。

防水効果が切れると、雨水を吸収して表面がボロボロと剥がれてきます。

この屋根材を1枚だけ交換しても、次々と不具合が生じてしまうので、全体的なメンテナンスを考えていく必要があります。

コロニアルNEOについて詳しくはこちら>>

 

雨漏りしている場合

正面野地板腐食

 

屋根は、TOPのコロニアルを「1次防水」、その下の防水シートを「2次防水」と2段構えで雨漏りから守っています。

雨漏りしているという事は、2次防水の「防水シートも破損」しています。そのため、上物の1次防水「スレート屋根」だけ修理しても意味がないのです。割れた屋根材を差し替えても別の箇所から雨水が「破損した防水シートまでまわって雨漏り」してしまうためです。

雨漏りが発生した場合は、一定範囲の屋根材の張替えにプラスして防水シートの張替えが最低でも必要となります。

 

スレート屋根の差し替えは火災保険が使える?

屋根調査

 

スレート屋根の差し替えには、条件が合えば火災保険が使えます。

火災保険の適用条件

・被害から2~3年以内

・自然災害の影響であること(経年劣化は不可)

・修理費用が一定額以上

上記3つがあてまる場合は申請することができます。申請後に保険会社が調査にきますので、そこで審査に通れば火災保険が正式に適用されます。

この中でもとくに注意が必要なのが「自然災害の影響であること」です。経年劣化が主な原因で、強風により剥がれた、割れた、雨漏りした場合には審査が通らないことも多いです。

もともとメンテナンスをしておらず、経年劣化の延長線上にある場合は可能性が低いので注意しましょう。

 

最後に

 

スレート屋根材は、ひび割れが起きやすくメンテナンスが必要となります。その際に、一枚や数枚だけ交換したいというケースにおいて、差し替えや交換が行われています。

差し替え費用は「約2.5万円~」と作業費が主にかかります。

ただし、差し替えの注意点は場所によって、旧釘穴がそのまま残ります。コーキングで穴埋めがきちんとできない場合もあるので適正な修理方法とはあまり言えません。

やはり、しっかりと施工するのであれば棟板金まで張替える工事か、カバー工法などの検討もお勧めいたします。

 

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