屋根から雨漏りが発生した場合に、「塗装すれば直りますよ」という営業担当がいますが、それは本当なのでしょうか?
確かに塗装には「防水効果がある」というイメージなので、雨漏りした場所に塗料を塗れば解決しそうな感じはします。
ですが、実は塗装を行う目的は別のところにありますので、注意しなければなりません。
ここでは、雨漏りと塗装の関係性について解説していきます。
屋根の雨漏りは塗装では直らない?
結論から言いますと、塗装の目的は「雨漏り対策」であって、雨漏りを直すことはできません。
屋根は、「一次防水」と「二次防水」で雨風を防いでいます。
一次防水材
一次防水は「屋根材」にあたります。
たいていの雨水はこの一次防水で守られています。
二次防水材
二次防水は屋根材の下に引く「防水シート」にあたります。
一次防水で防ぎきれなかった雨水をこの二次防水で守る形となります。
雨漏りは2次防水も傷んでいる
台風や強雨時には、一次防水では防げず、二次防水まで雨水が入り込んでしまうケースが多いです。
室内に雨漏りが発生した場合には、この下に引く「二次防水(防水シート)も傷み破損している」ということになります。
そのため屋根の表面をいくら塗膜で保護しても、内部の傷んだ「防水シート」を修復することはできませんので、雨水が内部にまわった場合に雨漏りしてしまうのです。
仮に、一時的に雨漏りが止まったとしても、塗膜の劣化に伴い直ぐに再発してしまいます。
そのため、塗装だけでは雨漏りを直すことができないのです。
屋根塗装の役割とは
屋根は、日々「紫外線や雨や風」にさらされています。
自然からの脅威に常にさらされて建物を守ってくれている屋根の塗膜(塗装)は、当然ながら時間の経過で劣化していきます。
一般的に「10年以上」経過してくると、塗装の役割を十分に果たせなくなってしまいます。
防水効果の切れた屋根材は「ひび割れ」、「雨水の吸収」など、不具合が生じ「防水シート」を傷め、雨漏り発生につながってきます。
このような劣化した屋根材の雨漏りを防ぐために「予防・対策」として屋根塗装が行われているのです。
そのため、すでに雨漏りしてしまった屋根には適さない工事となります。
屋根から雨漏りした場合の適切な施工方法は?
雨漏りが発生した場合には、原因や場所をまず特定していく必要があります。
雨漏りしている真上やその近くから必ずしも雨水が入り込んでいるとは限らないからです。
そのため、まず「目視調査」、「散水調査」、「サーモグラフィー調査」などを行って、原因や場所を特定していきます。
その後、施工箇所によって適切な対処を行っていきます。
①コーキング処理(応急処置)
②屋根材の部分的な張替え
③屋根材のカバー工事、屋根葺き替え工事
コーキング処理
応急処置として「コーキング処理」がよく行われます。
もちろん、コーキングが適した状況に限られますが、この処理を行うだけで雨漏りを止めることもできます。
部分的な張替え
雨漏り箇所の特定できた場合には、「部分的な張替え」を行って対処していきます。
既存の屋根材を剥がして下の防水シートを張りなおします。木下地が傷んでいる場合には、補修も行います。
全体的なカバーや張替え
雨漏りの原因や場所の特定が難しいケースや、雨漏り箇所以外にも全体的に劣化がみられ、今後そのほかで雨漏りが発生しそうなケースでは「全体的なカバーや張替え」を行っていくことがあります。
全体的にやり直すことで、雨漏りをしっかり止めることができ、将来的にメンテナンスが必要な箇所をまとめて修理することで、コストが削減できます。
まとめ
塗装は、あくまで「雨漏り対策」の工事であって、雨漏りしてしまった屋根を直すことはできません。
雨漏りの発生は、「一次防水(屋根材)の下にある二次防水(防水シート)」も傷んでいるためです。
雨漏り修理を行う場合は、しっかりと原因や場所を特定して、適切な施工を行っていくことが大事です。
そのまま、雨漏りを放置してしまうと、2次災害の可能性がありますので、早めに対処していきましょう。