屋根修理の見積書に必ず含まれている作業用の足場。もちろん足場を組むにはちゃんとした理由があるからなのですが、費用は数十万と高額になりやすいものです。
そのため、「屋根の修理に足場は本当にいるの?」「なくても工事ができるんじゃないの?」なんて思う方もいるのも当然です。
しかし屋根修理で足場を組むのには、主に理由が3つほどあります。
見積書だけでは分からない、その理由について順々に解説していきます。
足場の必要性について
①作業の質や効率向上ため
屋根修理は「屋根に上がってしまえば作業できる」と思われがちですが、そうではありません。
屋根細部(軒先・端部)の質が向上
屋根の修理を正確に行うためには、屋根の隅から隅まで何度も行き来しなければならなず、細部を丁寧に作業していくには、施工する職人の安定した姿勢が欠かせません。
つまり足場があることで不安定にならず、本来の技術をふんだんに発揮することができ、質の高い屋根の修理ができるのです。
作業効率
また、施工スタッフが自由に行きたいところに行けるため、作業がスムーズに進みます。工事規模にもよりますが、作業効率が上がることで工期が短縮され、人件費など工事費用の軽減も期待できるのです。
しかし、その足場を含まなければ工事期間は延びるだけではなく、さらに工事の質が低下してしまう可能性があります。
②ご近所トラブルを防ぐため
屋根や外壁など住宅の修理時におけるご近隣トラブルは、実は少なくありません。基本的に外での作業になりますので、周辺住民になんらかの影響があるのです。
散水によるトラブル防止
屋根修理では雨漏りなどを調べる際に水を使った検査(散水調査)、状況によって屋根塗装をすることもあります。
上記作業を注意して行っても、汚れた水が周囲に飛び散ってしまうこともあり、ご近隣とトラブルになってしまうことがあります。
ただし、こうした検査のときも足場があると違います。
飛散防止シートを張ることで、余計な水分が飛び散らないようにできるからです。
ゴミや埃の飛散
飛散防止シートを張ることで、屋根修理中の「廃材」やそのあとに塗装をしたときの「ペンキ」の飛散を防止することができます。
さらには工事の際に飛び散る細かなゴミやホコリなども、周囲に飛散させることはないのです。
③安全作業で職人を守るため
作業職人を守るために必要
屋根修理を行う職人は、もちろん毎日屋根に上っているため、高所作業に慣れています。
しかしながら、その日によってコンディションが違い、疲労が溜まっていたりすると不注意で墜落してしまうリスクがあります。
本人は大丈夫と思っていても、人間なので何が起こるかわかりません。足場がないというのは危険が伴うため、安全面を考えると必須となります。
労働安全衛生法の観点からの必要性
足場を組まないで屋根の工事を行った場合、法律違反となることもあります。
厚生労働省令の「労働安全衛生規則」第518条
「事業者は、高さが2メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。」
「事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための借置を講じなければならない。」
労働安全衛生法では、「2m以上」の作業を行う場合は、作業床(足場)の設置義務があり、設置しなくても良いのは「足場の設置が困難な場合」と記載があります。
(※墜落のリスクが少ない「1F屋根・低勾配屋根」などの作業においては状況によって不要となる場合があります。)
そのため、基本的には屋根修理で足場を建てずに作業してはいけないことになっています。
このような法律ができたのも、建設業はそれほど墜落による被害が多いためです。
まとめ
住宅のメンテナンスや修理にはある程度の費用がかかるものです。そのため足場にかかる費用が気になるという方も少なくありません。
しかし、足場を組むことによって、「工期が短くなる」、「安全に工事ができる」、「丁寧な作業ができる」などのメリットがあることも理解いただけたのではないでしょうか。
費用はかかってしまいますが、足場を組んで行う「安全で質が高い工事」を選んだほうが、その後の安心にもつながります。
それでも少しでも予算を抑えたい場合は、外壁塗装と一緒の時期に行うか、火災保険の対象であれば申請して工事を行うことで少しでも費用を抑えられますので、ご検討ご確認してみてください。