施工後の屋根

 

屋根を交換する際、「葺き替え工法」「カバー工法」と大きく2つの工法に分けられます。

カバー工法は屋根リフォームならではの工法で、価格が抑えられるだけでなく、短い工事期間で完了するといったメリットがたくさんあります。

しかしメリットだけではありません。

この記事では屋根カバー工法のデメリットと失敗しないための方法について解説していきます。

屋根カバー工法とは?

葺き替えとカバー工法の違い

ルーフィングシート張り

 

屋根材を交換する際、工法は「葺き替え工法」と「カバー工法」の2つに分けられます。

「葺き替え工法」は既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材を葺く工法です。

対して「カバー工法」とは、既存の屋根材を撤去せず、上から新しい屋根材を葺くという工法です。

既存の屋根を覆うような形になる為、カバー工法と言われています。

 

カバー工法のメリット

 

カバー工法の特徴は何と言っても「工事価格を抑えられる」という点です。

カバー工法では既存の屋根材を撤去処分することがありませんので、撤去費用・処分費用を省くことができます。

リフォームを要する年代の屋根材にはアスベストが使用されていることも多く、処分費用だけでも30万〜といった高額な費用が掛かってしまうことがあります。

他にも上記工程を省くことで、「工事期間が短くて済む」という特徴もあります。

このように、葺き替えよりもカバー工法を行う事が大きなメリットになる為、昨今では数多くの屋根工事で取り入れられてます。

 

屋根カバー工法のデメリットからみた失敗を避ける方法

 

ここからが本題ですが、屋根カバー工法にはデメリットが存在します。

このデメリットを無視して工事を行ってしまうと、後々後悔してしまうので、注意が必要です。

ですが、しっかりとデメリットを把握することで、失敗するリスクを防ぐことができます。

 

屋根材が重たくなる

重ね葺き

 

カバー工法では「既存の屋根を撤去しない」ということでさまざまなメリットを生んでいますが、これはデメリットにも直結してしまいます。

それは屋根の「重み」です。

住宅は屋根に掛かる負担が大きくなるほど地震の際の揺れが大きくなることから、耐震性が多少低下してしまいます。

その為、カバー工法に使用する際は、屋根材の中でも重量の軽い「金属屋根(5kg/㎡)」を使用することが一般的です。

新たに「木下地(8kg/㎡)」を増し張りして、「軽量瓦(ルーガなど20kg/㎡)」の重ね葺きを行う場合は注意が必要です。

※新しい屋根材は野地板に釘留めしていきます。その関係で野地板の傷みが酷いと、使用する屋根材によっては強度に影響がでるため新しく木下地(構造用合板)を張る必要があります。

 

失敗しないためには

重さのデメリットに対しては、金属屋根などの軽量屋根材を使用すれば、耐震性に関してはそこまで影響はありません。

野地板の傷みが少ない時期に金属系の軽量屋根材でカバー工法を行えば失敗は起きないでしょう。

詳しくはこちらを→「屋根カバー工法による重量増加は耐震性に影響するのか?

 

下地材などのメンテナンスが行えない

屋根解体

 

屋根は屋根材だけで構成されているわけではなく、ルーフィーング(防水シート)、野地板(下地材)と複数構造で構成されています。

屋根のメンテナンスを行うきっかけとして多いのは「雨漏れ」です。

雨漏れは室内に影響を与えるだけではありません。

野地板は構造用合板(木材)なので、水分を含むことで「腐食したり、カビが生えたり、反りが発生」してしまいます。

カバー工法では、そういった不具合が発生した野地板の補修を行うことが出来ません

 

失敗しないためには

野地板が雨漏りや経年劣化によって「腐食・反り」が発生している場合は、新しく構造用合板を増し張りするか、垂木に直接屋根材を固定する方法を行うことで、強度の問題は解決されます。

ですが、雨漏りによる「カビ」が発生した野地板を何とかするには、「葺き替える」しかありません。

屋根内部のカビが、多少であれば影響は少ないので、葺き替えを行うかは状況によって判断が必要です。

 

屋根材(形状)よっては工事が行えない

メタルルーフ

 

カバー工法では新規屋根材を既存屋根材の上に打ち付けることで固定していきます。

その為、下地となる既存屋根材の形状によっては新規屋根材を固定することができないので、施工できません。

対象屋根は、平なスレート屋根材を中心としており、波打ったデザインにはカバー工法を行うことができません

 

失敗しないためには

化粧スレート、シングル材、金属屋根などはカバー工法が行えます。

施工前にどのような屋根材なのか把握しておくことが大事です。

 

防水シートと屋根材の寿命が違う

ルーフィングシート

 

これは、屋根カバー工法のデメリットというよりも注意点となります。

新しい屋根材を葺く前に張る防水シートですが、実はグレードがあり、それぞれ耐久性が異なります。

耐久性が10年の低価格なものから、30年以上持つ高価なものまであります。

注意点としては、30年もつ屋根材を使っても、防水シートが10年ものであれば不安が残ってしまうことです。

そのため、屋根材に合わせて防水シートもしっかりと選んでいく必要があります。

 

失敗しないためには

防水シートは、2次防水と言われ、直接紫外線や雨風の影響を受けません。

そのため、そこまで過度な心配をする必要はありませんが、それなりの防水シートを選んだ方が良いでしょう。

防水シートの種類についてこちら⇒「ルーフィングシート(防水シート)の種類について

 

最後に

 

屋根カバー工法は、コストの削減、工期の短縮とメリットの大きい工事です。

ですが、「屋根の重さが増える」、「下地の補修ができない」などのデメリットもかかえます。

しっかりとデメリットを把握した上で、失敗しないように検討していきましょう。