棟板金交換

 

日本の一戸建ての住宅でよく使われているのが、スレート屋根です。

このスレート屋根に欠かせない存在が、屋根が交差するところに使われている棟板金(むねばんきん)です。

棟板金の劣化は屋根全体の寿命に大きく関係していますが、今回はこの棟板金下地についてくわしく解説します。

棟板金の下地とは?

 

棟とは屋根同士が交差する頂上全体を指す言葉であり、棟板金は、その頂部に設置する役物です。

その棟板金(棟包み)を固定するために、取付けるのが「下地材(貫板)」です。

下地材は、野地板にビスで固定して取付けていきます。

この下地材を先に取付けてから、棟板金(棟包み)を被せて仕上げていきます

 

棟板金の下地の種類

 

棟板金の下地は一般的に貫板と呼ばれていますが、元々は貫板には木板が使用されていました。

近年は樹脂製など木板以外の下地も世の中に多く出回っているものの、木板以外の素材であっても棟板金の下地のことを貫板と呼ぶのが一般的です。

 

木板

木下地

 

建築用の木材を使用した木板は、かつては棟板金の下地として最も多く用いられていました。

具体的には杉を用いることが多く、日本のほとんどの地域に分布していること、軽くて加工がしやすい点などがその理由です。

木板を使用している貫板は水分に弱いという大きな難点を抱えており、雨などの影響であっさりと腐食が始まることもあります。

棟板金の下地が腐食すると様々な悪影響が出てくるため、木板は近年あまり使用されていない素材です。

 

樹脂製

樹脂製の下地

 

近年、よく用いられているのが樹脂製の貫板であり、こちらは木板とは違って腐食しないことが魅力です。

樹脂製の貫板は水分を吸収しにくいという特徴を持っていることから木板よりも不具合がでにくく、棟板金の寿命にも関係してきます。

また、棟板金の固定を釘ではなく、さらに抜けづらいビスを使用することで、さらに耐久性の高い仕上がりになります。

ですが、樹脂製の貫板は割れやすいため、ビスや釘の位置を誤ると、上手く固定されず割れてしまう事があります。

せっかく樹脂製を使っても、施工ミスで不具合が出てしまう事があるため注意が必要です。

 

ガルバリウム

金属製の下地

 

「木材」や「樹脂製」以外にも「ガルバリウム鋼板」を下地として使用する場合もあります。

ガルバリウム鋼板を使用することで、樹脂製同様に腐食しづらいため、長期間メンテナンス不要となります。

基本的にビスでしっかりと固定されるので、強度がでます。

ですが、風などの動きで、年数が経つと徐々にビス穴が広がり、抜けてしまう事があるため注意が必要です。

 

木下地が腐食するとどうなる?

下地が腐食する原因

 

棟板金の木下地が腐食する原因は、「棟板金の継ぎ目」、「釘穴」、「棟板金の浮いた箇所」から雨水が内部に入り込むことで起こり得ます。

そのほか、棟包みが膨張と収縮を繰り返すことで、釘が浮いてくるため、その釘穴から雨水が入り込み、腐食しやすくなります。

棟板金の釘浮きの原因について詳しくはこちら>>

すぐに腐食することはありませんが、「築15年~20年目」経つと傷んでくるため環境によって交換が必要となります。

 

腐食した場合の悪影響とは

 

木下地が腐食すると、留め釘が抜けてしまう原因となります。

そのまま放置すると、固定する力が弱まっているため「強風で棟板金が飛ぶ」、「剥がれる」などの事故のリスクが高まります。

貫板は目視で確認できない部位なので分かりにくいものの、大きな事故にもつながりかねないため重要なポイントと言っても過言ではありません。

 

まとめ

 

棟板金の下地としてよく用いられているのは木板と樹脂製の2つであり、近年は腐りにくい樹脂製の下地が人気を集めています。

とくに、台風シーズンでは棟板金が剥がれる被害が多く発生しています。

下地に木材の貫板が使われている場合は、築15年目を目安に外壁塗装や屋根塗装などと一緒に交換をご検討ください。

また、棟板金交換の際は、長期間メンテナンス不要な「樹脂製」の下地がおすすめです。