塗料材料

 

屋根塗装を考えている方で、気になるのが使用する「塗料の種類」、そして「その費用単価」かと思います。

実際に工事を行う際には、塗料にはどのような耐久性や性能があり、それによってどれくらい費用単価が変わってくるのか知っておいた方が後悔しないで塗装工事を行えるかと思います。

そこで、このページでは屋根の塗料について、どのような種類があるのか、特徴や選び方まで解説します。

屋根塗料の種類とそれぞれの特徴

 

屋根塗装に使われる塗料には、屋根材の機能を維持する役割があります。屋根材の機能とは、主に防水機能で屋根材の劣化による雨漏りなどを防ぐ役割があります。

屋根の塗料は雨風や紫外線などに常に晒されるため、耐久性と防水性などの特性が求められます。主な屋根塗料の種類とそれぞれの特徴について解説していきます。

 

屋根塗料の種類

中塗り

 

塗料の種類は多彩にありますが、代表的なものをご紹介します。

 

アクリル塗料

 

アクリル系塗料は、アクリル樹脂を主成分とした塗料です。防水性があるため、屋根材の表面をカバーすることができます。

他の塗料と比べてリーズナブルで、カラーバリエーションが多彩でホームセンターでも販売されているためDIYやリフォームではよく使用されています。

ですが、屋根の塗料としては紫外線に弱く、劣化が早いことが欠点です。耐用年数はおよそ5年から7年と短いため、家そのものの築年数が古く寿命が近いケースや、とにかく安さを優先する理由があるケースに向いています。

費用単価:1,500~1,800円/㎡

 

ウレタン塗料

 

ウレタン系塗料は、ウレタン樹脂を主成分とした塗料です。アクリル塗料よりはやや高くなりますが光沢感に優れ、表面が滑らかであるため、アクリル塗料よりも高級感のある仕上がりになります。

ただ、ウレタン塗料もアクリル塗料と同じで紫外線に弱く、耐用年数はおよそ7年から10年くらいとなります。

ウレタン塗料は伸縮性があり、柔らかく弾力がありますので、クラックが起こりやすいモルタル外壁や動きの出る付帯部(木鉄)の塗装に使用されることが多くなっています。

費用単価:1,800~2,200円/㎡

 

シリコン塗料、ラジカルシリコン塗料

 

シリコン塗料は、シリコン樹脂を主原料としている塗料です。シリコン樹脂は耐候性が高く、塗布後の表面は光沢があり丈夫なため、建築物等の屋外塗装や防水塗装によく利用されます。

特に、屋根塗装や外壁塗装等に使用される場合には、耐候性が高く、ある程度の年数が経過しても色あせや劣化が少なく、多く利用されているコストパフォーマンスの高い塗料です。

現在流通している塗料はシリコン系が多く、耐用年数はおよそ10年から12年です。また、ラジカル制御が伴った、ラジカル系塗料の耐用年数は15年前後となっています。

費用単価:2,800~3,500円/㎡

 

フッ素塗料

 

フッ素塗料とは、フッ素樹脂を主原料としている耐候性や防水性に優れた塗料です。フッ素樹脂は水や油、汚れが付きにくく、メンテナンスにかかるサイクルを長くできます

フッ素塗料は安くはありませんが性能が高いため、近年は採用が増えてきています。耐用年数はおよそ15年から18年くらいとなります。

費用単価:4,200~4,500円/㎡

 

無機塗料

 

無機塗料とは、塗料の有機物に水ガラス、石、鉱物などの無機物を配合させた塗料です。有機溶剤が含まれないため、環境に優しく、耐久性も高いという特徴があります。また、防カビ、防藻、抗菌効果なども持っており、医療や食品工場などの衛生管理が重要な施設や、文化財建築物の保存にも広く使用されています。

ただし、屋根塗料としてはまだあまり実績が少なく、あまり採用されていません。

耐用年数は20年~22年と高耐久ですが、他の塗料と比べるとコストは高くなります

費用単価:5,000~5,500円/㎡

 

特殊機能塗料について

屋根塗装仕上がり

 

断熱塗料

 

断熱塗料とは、外部と内部で熱や冷気の出入りを少なくすることで室内の温度調整をしやすくする塗料です。この塗料は、紫外線や熱を反射することで、外部の気温に左右されにくく室内の温度を一定に保ち、暑い夏や寒い冬でも快適な居住環境を維持することができます。

このような断熱塗料を使用することで、冷暖房の消費電力を抑えることができ、省エネ効果も期待できます。ただ、既に断熱効果のある屋根材の場合は効果が薄くなります。

 

遮熱塗料

 

遮熱塗料は、太陽の光を反射することで、夏場の日射熱を遮断し、建物内部の温度上昇を抑える塗料です。このような遮熱塗料は、紫外線や熱を反射することで、建物内部の温度上昇を抑制し、冷暖房のエネルギー効率を高めます

懸念される冬場の太陽熱の反射ですが、冬は太陽の位置が低くなり屋根にそこまで太陽熱があたらないため、ほとんど影響はありません。

 

光触媒塗料

 

光触媒塗料は、人工的に製造された触媒物質(光触媒)が配合された塗料のことです。光触媒は、紫外線を受けることによって自浄作用を発揮し、表面に付着した汚れや有害物質を分解して無害な物質に変えます。言い換えればセルフクリーニング機能」を持たせた塗料といえます。

また、光触媒塗料は紫外線型と可視光型の2種類があります。可視光型は紫外線が当たらなくてもセルフクリーニング効果があります。

できれば備えておきたい機能ですが、価格は高くなります。

 

水性塗料と油性塗料

断熱塗装

 

塗料には、「水性塗料」と「油性塗料」があります。希釈を「」で行うか「シンナー」で行うかで異なってきます。

今まではシンナーで希釈する油性系(溶剤系)の塗料の方が塗膜として強く、耐候性にも優っているとされてきました。

しかし、溶剤系の臭いや健康面での悪影響を考量して水性塗料の需要が高まり、油性と大差ない耐久性まで技術が進んできています。

 

艶ありか艶なしか

ガルバリウム鋼板塗装仕上げ

 

塗料には「艶あり、7分艶、5分艶、3分艶、艶消し」の5種類あります。艶があることで、光沢感のある仕上がりとなります。

おすすめは「親水性」と「防汚性」が強い艶ありとなります。

屋根には外部から降ってくるゴミやほこりなどにより、汚れが付着しやすくなりますので、屋根面に汚れが残りやすいと、結果的に耐久性が下がることがあるためです。

 

屋根塗料の選び方

塗装工事 作業着

 

金額で選ぶ

 

家のメンテナンス費用には各ご家庭で予算があるかと思います。いくら性能が良い塗料でも予算をオーバーしてはできません。しかし、安ければそれだけメンテナンスサイクルは早くなりますので、ある程度長期的に考えることも必要です。

たとえば費用だけで言えばアクリル塗料やウレタン塗料が安く済みますが、数年後にまた仮設足場が必要になりますので、トータルで考えると長持ちする塗料のほうが安く済むこともあります。

 

耐久年数で選ぶ

 

何年くらい持たせたいか、といった目途があればそれに合わせた選び方ができます。たとえば家も新しく、屋根材もまだ取り換えまで年数があるケースであれば、シリコン塗料やフッ素塗料などの10年以上の耐久年数が適しています

逆に家が古く屋根材も古くなっているケースでは、高くて長持ちする塗料を使用してもムダが出てしまう可能性があります。

 

塗料の機能で選ぶ

 

断熱や遮熱など、特殊な機能が必要であるかどうかで選びます。

既に屋根や外壁に備わっている機能と重複しないかどうか。または住んでいるエリアやロケーションに適しているかなど、確認は必要となります。

 

屋根材で選ぶ

 

屋根の素材にはシングル材やスレート屋根、ガルバリウム鋼板などの金属屋根材など様々な種類があり、それによって適した塗料があります。

屋根材、そして劣化状況に合わせた適切な塗料の選定が必要となります。

 

一般住宅におススメな塗料の種類

材料

 

現在の屋根が化粧スレート(コロニアル)の場合、どのような塗料が適しているか、ケーススタディーとしてみていきます。

化粧スレート屋根には比較的薄く強い塗膜を形成し、汚れに強い塗料が適しています。

そのためシリコン塗料か、予算に余裕があればフッ素塗料がおすすめです。

また、できれば遮熱塗料の使用をおすすめします。理由は、屋根材の温度劣化対策です。夏場は屋根材の表面が高温になるため、熱によってスレート素材自体にダメージが及ぶのを軽減させるためです。

ただし、前回使用されている塗料(塗料の種類・塗料のメーカー・何年くらい前に塗装したのか等)と、今回使用する予定の塗料の適合性を確認する必要があります。

 

おすすめシリコン塗料

日本ペイント:ファインパーフェクトベスト

SK化研:遮熱クールタイトSI

 

最後に

 

屋根で使われる塗料の種類について解説してきましたが、塗料の種類が多いので、選ぶのも簡単ではありません。

施工を依頼する業者がよく使っているメーカーや塗料を参考にアドバイスや相談を受けるのも一つの選択方法となります。

塗料の選択に迷われたら、価格が安過ぎず、高すぎないシリコン(ラジカル)系の中間グレードの大手三大塗料メーカーの塗料がおすすめです。